風土47
-元気な一日を過ごす- パン派の朝食に!
朝ごはんは和食ですか、洋食ですか?
気分しだい、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
今月はパンに合って、しかも手早く食べられる朝食向きの品がそろいました。
夜通し阿波踊りが踊れるほど、元気が出るエナジードリンクも必見です!
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、2014年4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈熊本市・熊本県果実農業協同組合連合会〉
デコポンストレート(190g 150円)
 デコポン果汁100%のジュース。朝の目覚めに、こんなにおいしいジュースが飲めたら最高だ。
 「デコポン」は、熊本果実連が所有する登録商標。「清見」と「ポンカン」を交配して誕生した「不知火」という品種だが、その中でも、糖度13度以上であること、クエン酸1.0以下など、柑橘類のなかで唯一全国統一された基準「全国統一糖酸品質基準」を満たさなければ「デコポン」として出荷することができないという。
 熊本県は、このデコポンの生産量日本一を誇っている。華やかな甘みがあり、酸味が控えめ、そしてすっきりとした後味。オレンジジュースを飲んで、酸味の強さに朝から顔をしかめてしまう……なんてことは、このデコポンストレートでは絶対にありえない。おいしくて幸せな1日が始まります。
デコポンストレート
米沢牛かっぱ燻製
〈米沢市・㈱米澤佐藤畜産〉
米沢牛かっぱ燻製(100g 864円)
 いやぁ、びっくり。おいしいです。
 「これ、人気商品なんですよ。豚肉の製品もあるけど、こちらの方がよく売れます。お酒のおつまみにもいいですけど、朝、ベーコン代わりに食べるのもいいですね」と、店員さん。
 でも聞いたときは、正直に言って半信半疑。「かっぱって何だろう? ベーコンなら豚肉の方がいいのでは?」
 けれど食べてみたら、おいしい! 脂が甘い! 噛むごとにうま味がにじみ出て、燻製の香ばしさ、しっかりと効いた塩味も手伝って食が進む。袋から取り出してそのまま食べられるので、時間のない朝にもぴったり。
 かっぱとはスジ肉のことで、この部位はうま味が濃厚で希少な部位だという。
 パンとぴったりだけど、ワインとの相性もよさそう。朝も夜の晩酌にも活躍しそうです。
〈下仁田町・㈶神津牧場〉
ジャージーバター・缶(225g 1,500円)
 おいしいバターだ。コクがあるのにすっきりとして、端正な味、というのだろうか。レトロな缶がまた素敵。朝から楽しい気分の朝食になりそうだ。
 調べてみて驚いた。製造元の神津牧場は、飼料は種まきから育てた牧草、肥料も堆肥づくりから行う有機畜産。この資源循環型の畜産を一貫して行ってきたのだという。こうして育った健康な牛たちからしぼり出された牛乳は濃厚で香りが高く、バターやチーズにもコクが出る。
 歴史にも驚いた。創業は明治20年(1887)で、日本最古の洋式牧場といわれている。創始者の神津邦太郎氏は、長野の豪農の息子で、福沢諭吉のもとで勉学に励み、上海にも遊学した。海外で欧米人との体格の差を感じた神津氏は、日本人の体力や体格向上のために牛乳からバターをつくることを思い立って牧場を設立したという。
 朝から高い志にふれられる一品ですね。
ジャージーバター・缶
完熟トマト松阪豚しぐれ煮「まんまだよ」
〈松阪市・㈲寿総合食品〉
完熟トマト松阪豚しぐれ煮「まんまだよ」(140g 650円)
 「まんまだよ」の言葉通り、ごはんのお供として開発されたらしいが、ミートソースのような味で洋食にもぴったり。オムレツにのせてもいいし、パンに塗ってチーズをのせて焼いてもおいしい。お肉や野菜、そしてパスタとの相性も抜群だ。
 松阪といえば牛が有名だが、実は山越畜産の松阪豚は三重県のブランド豚で、数々の品評会に入賞した極上の三元豚だという。この豚肉と合わせたのが、土づくりからこだわるトマト農家の完熟トマト。玉ねぎやニンニクなどの野菜はもちろん、隠し味の味噌も近在の三重県産を使用して、しぐれ煮に仕上げてある。
 とにかく松阪豚の品質がすごいらしい。脂はコラーゲンが多く、赤身もしっとりときめ細やか。茹でてもアクがほとんど出ず、焼いても煙が少ないのだとか。トマトも栄養価が高いし、朝食に健康的なひと品をちょっと加えたいときにおすすめ。
〈徳島市・㈱サンマック〉
Awa Rise(250㎖ 162円)
 これ、おいしいです。徳島県産のゆず果汁が入って爽やか。微炭酸で、まるでシャンパンのよう。
 でもコンセプトは優雅ではなくエネルギッシュ。缶にはこう書かれているのだ。
 「アワライズは、興奮と熱気の渦に包まれる阿波踊りで最高のパフォーマンスを発揮したい時のために開発されエナジードリンクです」。
 なんと、阿波踊りのために開発されている。さすが徳島県。そしてよく見れば、阿波踊りの画像と「朝まで踊ろうや! 一緒に踊ろうや!」の文字も。
 アルギニンやビタミンB2やB12も入って、まさにエナジードリンクなのだが、ユズの風味が効いて、目覚めのジュースとして心地よく飲める。「時間がない!」と、朝食をゆっくり食べられない日も、これが1本あれば元気をプラスできそうだ。
Awa Rise
霜ふりゆず
〈徳島市・㈱柚りっ子〉
霜ふりゆず(120g 540円)
 徳島県でもう一つ、どちらをご紹介しようかと迷ったのが、このユズのマーマレード。これも甘さ控えめで抜群においしい。
 南国なのになぜ霜ふりなのか。それは、通常、ユズは12月、山に霜が降りるまでに摘み取るが、収穫が遅れて霜がかかてしまったユズがあったのだという。ところが、そのユズは味がまろやかになり、苦みも少ない。そこでマーマレードやジャムにしてみたら、やさしくクリアな味になったそうだ。
 砂糖はてんさいのロック氷糖を使ったという。これもおすすめの品。
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。(朝日新聞デジタル連載記事