風土47
寒い冬 熱いから美味い!
昔、スキーのあとに入る温泉は最高でした。
雪かきのあとに飲む温かい甘酒、冷えて帰った夜の熱燗……寒いからこそ、いっそうおいしさが際立ちます。
今月は、そんな寒い冬だからこそ魅力倍増の商品をそろえました。
熱くして、フーフーしながら食べたり飲んだりして楽しんでください。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、2014年4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈川俣町・㈱川俣町農業振興公社〉
川俣シャモ 地鶏スープ(200mℓ 270円)
 冬においしい料理といえば、やっぱり鍋。川俣シャモのスープを出汁として使えたら、おいしいのは間違いない。270円はお買い得価格だと思う。
 ミシュランを獲得するような多くの名店で愛される川俣シャモは、繊細で弾力のある肉質で、噛めば噛むほどうま味がにじみ出る深い味わいがある。
 このスープも、うま味が溶け出て黄金色をしている。少し薄めて野菜を入れると、野菜もあっという間にうま味が増す。不思議なのは、コクがあるのに全く脂っぽさを感じさせないこと。実は、鶏のスープはちょっと脂っぽくて苦手、と思っていたが脂はほとんど感じず、上品な味わいでびっくりした。
 川俣シャモは、阿武隈山地の豊かな自然に囲まれた地で、平飼いでのびのびと飼育される。もともとは裕福な機屋の旦那衆が娯楽として楽しんでいた「闘鶏」に用いられた軍鶏だったが、町の名産として改良したのだという。ちなみに坂本龍馬も軍鶏鍋が好物だったそうですよ。
川俣シャモ 地鶏スープ
下仁田こんにゃく 串おでん
〈下仁田町・土屋食品〉
下仁田こんにゃく 串おでん(こんにゃく160g×2、でんがくみそ30g×2 450円)
 群馬県といえばコンニャク。おでんに入れてもいいけど、田楽にすれば冬のおやつにもおすすめだ。
 この商品はコンニャクを食べやすいスティック状に切り、串に刺して5本ずつ袋に小分けしてある。袋ごと5分温めて、付属のはちみつ入り田楽みそをかけるだけなので、手軽に食べられる。メーカーのHPに「お子さんのおやつにも、ジャンクフードではなくこちらの方がヘルシーですよ」と書いてあったけど、まったくその通り。しかもおいしいです。
 群馬県はこんにゃく芋の生産量日本一を誇り、そのほとんどが下仁田町に集められて、加工して出荷される。なので市場では「下仁田こんにゃく」の名で通っている。
 下仁田町がコンニャクの生産に向いているかは、山あいに位置しているからだという。コンニャクは強い日差しを嫌うので、日照時間が短い山間は栽培にぴったり。また、水はけが良く、風や水の害も少ない。水車小屋で製粉できたのも生産に向いていたのだという。特産品が生まれるには理由があるんですね。
〈南砺市・㈱なかしま〉
寒鰤大根(200g 324円)
 富山県の冬の味覚といえば寒ブリ。毎年12月から翌年2月までの冬の時期に漁獲されるブリのことで、産卵を前に、最も脂がのっている。
 北陸の日本海では、11月下旬に激しい風や雷を伴う嵐がやってくる。これは“鰤起(ぶりおこ)し”とよばれ、ブリ漁が最盛期を迎える合図だといわれているそうだ。
 この商品は、極寒の富山湾で水揚げされた寒鰤と、南砺市(なんとし)立野ヶ原産の大根を使用。地元の城端(じょうはな)醤油を用い、直火炊きで丹念に煮込んでいる。真空パックなので温めるだけ。味が染み込んで実においしい。大根からはジュワッと煮汁がしみ出て、ブリの脂がほどよいコクを生み出している。
 メーカーが、地元の主婦と共同で商品開発を行い、富山の郷土料理であるぶり大根の家庭の味を再現しているという。家庭的な温かいおいしさです。
寒鰤大根
手延べ 半田そうめん
〈つるぎ町・㈲白滝製麺〉
手延べ 半田そうめん(300g 390円)
 半田そうめんのコシ、恐るべしです。
 「半田そうめんは夏、冷たくして食べるのもいいですが、冬にグラタンやチャンプルー、またパスタ代わりにして温かくして食べてもおいしいですよ。コシがあるので調理しても存在感が変わりません」と担当者の方が言っていたが、その通りだった。
 半田そうめんは、つるぎ町の半田地区で作られる素麺の名品。この地区は、吉野川が小麦を育てる肥沃な土地を形成し、良質な水ももたらす。冬には剣山から寒風が吹き下ろし、おいしい素麺を作る好条件がそろっている。
 その特徴は1.3mm~1.7mmという太さ。小麦の味わいが深く、なんといってもコシが強い。ネットで調べたら、半田そうめんナポリタンは地元洋食店の人気メニューとのことで、ナポリタンにしてみた。これがおいしいのなんの。もちもちの太麺にトマトソースが絡み、味もしっかりしておいしい。すっかりはまって、3日連続、ナポリタン。半田そうめんの魅力、恐るべし!です。
〈荒尾市・高森興産㈱〉
だんご汁 みそ味(178g 146円)
 「安い、簡単、うまい」。これが三拍子そろっていたらうれしいが、この商品はかなりのレベルで満たしていると思う。
 だんご汁は、大分県と熊本県に古くから伝わる郷土料理で、小麦粉で作っただんごを、大根やニンジン、ゴボウ、サトイモ、鶏肉などの具と煮込んだ味噌仕立ての汁物だ。
 通常、だんごは楕円形の平たい円盤状が多いらしいが、これは太いうどん状になっている。作り方は簡単で、生麺を鍋で数分間ゆで、そこにスープの素を入れてのばすだけ。そしてかやくをかける。
 もちもちしただんごがおいしい。汁もやさしくていい味。味噌仕立てといっても塩分は控えめで、味噌によって華やかな香りとまろやかさが加わっている。1食146円も魅力です。
だんご汁 みそ味
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い(http://tabipen.net/report/nakamoto01.html