風土47
家族・友だち・お世話になった人へ 手土産ならこれ
暦が3月になると気分が春めいてきます。
春は出会いと別れの季節と言われますが、卒業や転勤などの多い3月は、さしずめ別れの季節でしょうか。でもそれはちょっと寂しいので、“感謝の季節”と思いたいですね。
今までお世話になった方へ、あるいは友人や家族へ、区切りのこの時期に“ありがとう”の気持ちを込めて贈れる気軽な手土産を選びました。気張らず贈れて喜ばれる、ちょっと気が利いたプチギフト。貴方ならどれを選びますか?
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅のペンクラブ、日本旅行作家協会会員)
各ショップお勧め「手土産」
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
 また、商品の価格は掲載時のものですので、変動があることをご承知おきください。
上野村・森の菓子工房
プレミアム生バーム・ミニ&苺ミニ(各1個 120円)
ジューシー焼きドーナツ(1個 120円)
 近年、手土産として人気のバームクーヘン。焼きたてのものが買えるショップもあり、デパートなどでは長い行列も見られる。確かにおいしいけれど、切り分けが必要だったり、かなりの量なのに日持ちがしない場合もある。
 その点、小袋入りは便利。ぐんまちゃん家ではバームクーヘンや焼きドーナッツの小袋があり、箱代100円を払うと好きな割合で詰められる。製造元の森の菓子工房は、上野村の直営事業として平成18年にオープン。できる限り上野村産と国産の材料を選んで製造している。
 プレーンとイチゴ味があるバームクーヘンは、生地がやわらかく甘さ控えめ。周りに施したシュガーコートがよい味のアクセントになっている。シューシー焼きドーナッツは名前の通りとってもジューシー。メープルシロップとブランデーでしっかりとした味わい。
プレミアム生バーム・ミニ&苺ミニ/ジューシー焼きドーナツ
柿の種進物缶
長岡市・浪花屋製菓㈱
柿の種進物缶(36g×10袋 1100円)
 酒類のおつまみといえば、真っ先に思い浮かぶのが柿の種。おやつとしても人気で、スーパーでもよく売られている。
 この柿の種の元祖は、長岡市で創業80年以上の歴史を持つ浪花屋製菓。もともとせんべいやあられを作る会社だったが、ある日、餅をくり抜く小判型の金型をうっかり踏み潰し、そのまま使用したらゆがんだ小判型のあられができたのが始まりだという。
 餅を柿の種の形に整え、焼いて膨らませ、表面に醤油などの味がつけて作られる。かりっとした食感、子どもでも食べやすい大きさ、小さいのにしっかり米と醤油の味がすることなど、改めてよくできた商品だと感心させられる。手軽なイメージの柿の種も、進物缶にするとちょっと豪華な手土産に。昔ながらのレトロな缶も喜ばれそうだ。550円(36g×4袋)と1650円(110g×6袋)もある。
東京都世田谷区・㈱キュアテックス
風雅すたいる あぶらとりハンカチ(1枚 945円)
 「これ、ちょっとしたプレゼントとして人気があるんです」と、店長さん。「男性が女性に何かお礼をと思った時にも便利みたいですね。気張らず、でも実用的で喜ばれますから」
 “風雅すたいる”は、福井県名産の和紙を使った商品シリーズの名称。和紙を糸状にして織り上げた繊維を使い、下着や靴下、ハンカチなどを製造している。なかでもあぶらとりハンカチは洗って繰り返し使え、ハンカチなのでどこでも使えると人気商品だ。葡萄鼠(ぶどうねず)、木蘭色(もくらんじき)など日本の伝統色8色がそろっている。
 和紙100%で作られる繊維は、肌にやさしいのはもちろん、さまざまな優れた特徴がある。撚糸の行程で無数の微細空間ができるため、夏は涼しく、冬は暖か。また、べとつかず、むれず、肌の乾燥を防ぐ調湿性にも優れている。そのほか消臭性や紫外線カット効果、抗菌性などもある。2010年4月のスペースシャトル「ディスカバリー号」の打ち上げの際には、JAXAにこのシリーズのソックスが採用され、山崎宇宙飛行士とともに宇宙に行って話題となった。
風雅すたいる あぶらとりハンカチ
因幡の白うさぎ
米子市・寿製菓㈱
因幡の白うさぎ(11個 1260円)
 「鳥取では昔から長く愛され、手土産の定番です。これを持っていけば間違いない、という商品です」と担当のSさん。昭和27年創業の寿製菓が、試行錯誤の末に昭和42年に生み出した洋風焼き饅頭だ。
 おいしい。こんな感じのお菓子は各地にあるが、その中では私の知る限り1番おいしいと思う。地元産の大山バターを使った焼き生地はやわらかく、香りがいい。黄味餡はしっとりとして上品な甘さ。生地と餡が調和し、後味もすっきりしている。ほかの商品ではどこかパサついていたり、甘みがきつかったりするが、それがない。開発当初、新鮮素材を使って賞味期限が1週間というのは観光菓子では画期的だったという。それでも「おいしいものを」という思いで発売し、今や山陰土産NO.1。名前もいいですね。
豊後高田市・宇栄喜号盛夏本舗など
あぐる 大分のおやつセット(3品 1300円)
 “あぐる”は大分の方言で人にものを差し上げるという意味だそうだ。坐来には、この大分の名産品をセットにした手土産セット“あぐる”が値段別に3種類ある。
 中でもおやつセットはリーズナブルで一番手軽に贈れる。大分で昔から愛されているおやつ3種類がおしゃれな半透明の袋に入っている。落花生いさご(豊後高田市・宇栄喜号盛夏本舗)は、豊後高田市の落花生を使用した香ばしい焼き菓子。口の中で溶けていくようなやさしい食感だ。海のパリ煎餅ミックス(宇佐市・大分ブランドクリエイト㈱)は、別府湾など地元で水揚げされたカタクチイワシや赤エビを使った軽い食感のせんべい。臼杵市名物の臼杵せんべい(臼杵市・臼杵市せんべい加工協同組合)は、小麦粉や卵黄などを使った生地に、地元の生姜や砂糖を合わせた蜜を塗った焼き菓子。どれも素朴ながら長年愛されてきた飽きのこない味だ。
あぐる 大分のおやつセット
うず芋
つるぎ町・㈲栗尾商店
うず芋(300g 630円)
 徳島県担当の住友さんイチオシはうず芋。県が誇るブランドさつま芋「なると金時」を使用した蜜漬けの干し芋だ。厳選したなると金時をあく抜きし、一つ一つ包丁で輪切りにして釜で蒸す。それを、80年以上にわたって守り続けてきた秘伝の蜜床に漬け込んで乾燥させる。9月~4月の期間限定商品だ。
 これはおいしい。手ごろな値段で、味は一級品という言うことなしの手土産。乾燥させることによってサツマイモの自然に甘みが濃くなり、そこにほどよい蜜の味が加わる。干し芋独特のコシのある食感もいい。
 前文に3月は別れの季節と書きましたが、住友さんも3月末に転勤で徳島県庁に戻られる予定。この2年、大変お世話になりました。事情があって、徳島県の取材は商品を店舗から事務所に運んでいただいての撮影。住友さんでなければ続かなかったかも、と思うと取材陣は感謝でいっぱいです。3月は感謝の季節。多くの方に支えられていることに改めて感謝し、4月からもよい商品のご紹介に努めます。