風土47
今月の特集「これを食べてもうひと頑張り! 受験生、残業の人たち応援 夜食 この一品」
体力回復に この一品 -新米の季節- 炊きたてご飯のおかず ホームパーティを盛り上げよう さむ~い冬に あったか~い鍋
お正月気分もすっかり抜け、寒い中、フル回転で仕事や勉強に励まれている方も多いでしょう。
特に受験生は最後の追い込みの時期ですね。
冬の夜、頑張る人たちを応援しようと選んだのが今月の夜食特集。さっと作れて、しかも身も心も温まる郷土の味ばかり。
あったかい夜食を食べて、さあもうひと頑張り!
希望の春はもうすぐそこまで来ていますよ。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅のペンクラブ、日本旅行作家協会会員)
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札幌市・東洋水産(株)
やきそば弁当(120g 420円)
 焼きそば弁当って知ってましたか? 北海道では通称“焼き弁(やきべん)”と呼ばれ、大人から子どもにまで愛されるまさにソウルフードなのだとか。北海道は、マルちゃんブランドを展開する東洋水産のシェアが高いことで知られるが、やきそば弁当は東洋水産の登録商標。北海道エリアだけの販売だという。
 ちょっと大きめの四角いカップが、確かに弁当箱のように見える。それに粉末スープが入っているので、これ1個あればそのまま弁当になる。そこからついた名前だろうか? 味は普通のマルちゃんの焼きそばの味。ボリュームたっぷりなので、若者や男性の夜食におすすめだ。
 余談だけれど、作りながら感動したのが容器の構造のすばらしさ。ラミネートのふたは湯を注いだ後に、再びふたをするのにちょうどよい硬さに保たれ、反対側の湯きり穴は、湯は出やすく、麺が飛び出さない絶妙の大きさ。使い捨ての容器にさえ行き届く、日本人のモノ作りの意識の高さに感動を覚えました。
やきそば弁当
せんべい汁
八戸市・八戸東洋(株)
せんべい汁(120g 420円)
 せんべい汁は約200年前から八戸市周辺に伝わる郷土料理。肉や魚、野菜などが入っただし汁に、小麦粉と塩で作った南部せんべい(おつゆせんべい)を割り入れて煮込む。上手に煮たせんべいはシコシコ、モチモチとした食感で本当においしい。B級グルメの祭典「B-1グランプリ」で3年連続の銀賞に輝き、その人気は今や全国区になった。
 「店でもせんべい汁は人気です」と、担当のIさん。「手軽に食べられるこのカップ入りも売れますよ。箱で注文する方もいるくらいです」。
 熱湯を注いで4~5分、あっという間に本格的なせんべい汁が出来上がる。予想以上にちゃんとしている、というのが正直な感想。具も、肉やニンジン、ゴボウ、キノコなどが多めに入っている。せんべいも3枚入って、食べごたえあり。それでいて1食210kカロリーは女性にもうれしい。ただ、少し味が濃い目なので、気になる方はスープの量で調整を。
沼田市・(株)つるまい本舗
和風きのこスープ(5g×14袋 500円)
 このスープは、群馬の名物みやげを作ろうと、県内の利根商業高等学校の生徒たちが中心となって開発した。谷川岳の麓に広がるみなかみ町で採れたマイタケとシイタケを原料に、カツオ節やしょう油などの和風の味付けをしてある。コショウとごまが味のアクセント。
 なかなかの味。ひと口すすると、シイタケの味がやさしくふわっと口に広がる。そのあとからダシのうま味と黒コショウのほどよい刺激が伝わってくる。
 キノコの味がしっかりとして、焼いたシイタケに塩コショウを振りかけて食べているような錯覚を覚える。焼いた餅を入れたり、クルトンをたっぷり入れてもおいしいそう。シイタケ好きには特におすすめの一品だ。
和風きのこスープ
金沢カレーいかまんま
白山市・(株)銭福屋
金沢カレーいかまんま(辛口)(1尾 680円)
 イカの水揚げ高全国2位の能登小木港に揚がったスルメイカを甘辛いしょう油ダレで煮込み、その中に「金沢カレー」と呼ばれる金沢地方独特のどろっとした濃厚な黒いカレーで味付けしたカレーライスが詰めてある。いかめしメーカーと、金沢カレーの老舗洋食店とコラボして誕生した新しい名物。米も加賀産のこしひかりを使用し、石川県の海と野の素材が融合している。
 かなりおいしい。カレーは濃厚でコクがあり、ほどよくスパイシー。船上で急速冷凍して鮮度を保つというイカは、これだけ煮込んでも軟らかく、品質の良さを感じさせる。店の方々が口をそろえて「これ、なかなかイケますよ」と言っていたけれどその通り。チーズを乗せたり、卵を付け合せたりしてもおいしいそうだ。
天理市・(有)つじい食品工業所
天理スタ麺(2食入り400円)
 スタ麺は、スタミナラーメンの略なのだそうだ。 天理市には、天理ラーメンと呼ばれるご当地ラーメンがあり、「天理スタミナラーメン」というチェーン店もある。
天理ラーメンの特徴は、スープはトンコツと鶏ガラをベースに、ニンニクと豆板醤で味付けをし、具には炒めた白菜や豚肉、ニラを使う。辛みのある濃厚でコッテリとしたラーメンだ。
 この商品も、白菜をごま油などで炒め、そこにスープを注いで、ゆでた麺を入れて作る。手作りの生麺は、細いのにシコシコと歯ごたえがあっておいしい。白菜の甘みと豆板醤の辛さ、ごま油の風味が加わってコクのある味わいだ。体が温まって力が湧いてくる。
 野菜も取れるし、ボリュームもあっていいのだが、難点は鍋を2つ使うこと。ほかの5品よりはちょっと手間がかかります。
天理スタ麺
あぐーの豚まん
那覇市・(株)沖縄県物産公社
あぐーの豚まん(1個140g 250円)
 「ほんと、おいしいですよ」と、女性副店長のMさんが勧めてくれたのがこれ。で、食べてみたら、本当においしかった。
 アグーは、沖縄固有の在来豚で、約600年前に中国から導入されたのが起源と言われる。長く島民の食生活を支えてきたが、第二次世界大戦などの影響で激減。一時は絶滅したと思われていた。しかし、1980年代に島内で約30頭が確認し、18頭を保護。今は他の品種と交配し、アグーブランド豚が育てられている。
 アグー豚は、コレステロールが少なく、ビタミンB1が豊富で旨味成分のグルタミン酸も多いのが特徴。臭みがなく、脂が香ばしい。焼くと非常に軟らかくなる。
 そのアグー豚を使ったのがこの肉まん。作り方は簡単で、レンジで数分チンするだけ。ふわふわの皮を割ると、肉汁と透明な脂がじわっとにじみ出てきた。具は、コクがあるのにしつこくなく、脂の上品な甘みが口の中でほどける感じ。寒い夜にも、幸せを感じる一品でした。