風土47
我が県のなつかしの味! パートⅣ
今月は青森県、山形県、群馬県、石川県、熊本県の懐かしい味ですが、みなさん、予想はつきますか?
なかには「あ、知ってる!」という有名なものもありますが、もちろん知らないものも。
でも共通して言えるのはどれも“おいしい”です。地域で永く愛される物はやはり味がいいんですね。機会があればぜひお試しください。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、2014年4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈十和田市・上北農産加工㈱〉
スタミナ源たれ(410g 486円)
 青森県のほとんどの家庭で常備されているといわれるのが、この「スタミナ源たれ」。リンゴや玉ねぎ、生姜、ニンニクなどを使った焼肉のタレで、年間600万本を売り上げる人気商品だ。
 青森出身のショップの方も「青森ではスーパーに必ずあるので、全国で販売している商品だと思っていました。焼肉のタレとして使うのはもちろん、炒めものや唐揚げなど、さまざまな料理に使います」とのこと。
 唐揚げはこのタレに肉を漬けておき、あとは小麦粉や片栗粉をまぶして揚げるだけで簡単に本格派の唐揚げになるという。
 焼いた肉につけて食べてみたが、なるほどおいしい! さらっとしているが味がしっかり。ニンニクが効いてパンチもあるのに、甘みがまろやかでくどくない。いい味だ。我が家の焼肉のタレもこれからはこれにしようかと思うほど気に入りました。
スタミナ源たれ
無添加のおみ漬
〈米沢市・㈲後藤商店〉
無添加のおみ漬(220g 378円)
 山形県といえば漬け物王国。おいしい山形プラザにもたくさんの漬け物が並んでいるが、中でもこのおみ漬は家庭の必需品といっていいほど愛されているという。と言うことは、キング・オブ・漬け物ということだろうか?
 期待を持って食べてみると……、確かにとてもおいしい。青菜のシャキシャキとした歯応え、スルメの風味、昆布のうま味、そこにほんのり甘みと酸味が効いて、箸が止まらなくなる。ご飯にもぴったり。
 何と言ってもこの青菜がおいしいな、と思って材料を調べてみると、「山形青菜(せいさい)」という在来野菜だという。アブラナ科の野菜で、九州の高菜や長野県の野沢菜などと同じ仲間。漬け物に適した品種なのだろう。
 おみ漬は、江戸時代に近江商人が野菜を無駄なく使うようにと青菜、大根葉、かぶの葉を細かく刻んで塩漬けにしたのが始まりとされる。「近江漬け」がおみ漬けに転じたのだとか。近江商人が山形にも行っていたのでしょうか。そんな交流も偲ばれる一品です。
〈前橋市・㈱幸煎餅〉
紅白七福神あられ(30枚 540円)
 創業100年という老舗が作るこのあられは、群馬県ではとても有名かつ人気だという。東京銀座の歌舞伎座の真向かいに専門店を構えているそうだから、人気のほどがうかがえる。
 「贈答品にも使われますし、もちろん家で食べるためにも買います。県内のさまざまな店で販売していますね」とショップのご担当者。ぐんまちゃん家にも化粧缶入りや袋入りなど、さまざまなサイズやパッケージがそろっている。
 直径3センチほどのひと口サイズの煎餅で、軽い食感だ。おいしい。確かにこれは老若男女に好まれそうで、これを贈り物にすれば喜ばれること間違いなしだろう。
 七福神が描かれた小袋には、それぞれに異なる7種の味が入っている。恵比寿天の袋にはえび味。布袋尊はチーズ味、弁財天はバター味、毘沙門天はカレー味、大黒天は青のり味、福禄寿はしそ味、寿老人は唐辛子味。次はこの味、次はこれ……と、つい手が伸びる。
 「どの味が一番好き?」など会話も弾みそう。ぜひお試しを。
紅白七福神あられ
笹寿し御色
〈金沢市・㈱みやこや〉
笹寿し御色(5個入り 972円)
 笹寿司は、石川県の郷土料理だという。笹で包まれた押し寿司で、鮭や鯛、サバなどの魚介類をはさむ。昔から祭りには欠かせない料理で、四季折々の食材を使って美しく仕上げられる。今はスーパーなど、県内のさまざまな店で売られているそうだ。
 この「笹寿し御色(ごしょく)」は、のどぐろ、えび、さけ、太きゅうり、金時草(きんじそう)の5種類の味が楽しめる。このうち太きゅうりと金時草は加賀野菜だ。藩政時代から受け継がれた季節感に富んだ特産野菜で、太きゅうりは名前の通り直径が6~7センチにもなる太いきゅうり。肉厚でやわらかい。金時草は葉の表側は緑色、裏側は鮮やかな金時色(赤紫色)という特徴的な色合い。茹でると独特のぬめりが出る。
 「ノドグロやエビは分かるけど、野菜の押し寿司なんておいしいの?」と思われるかもしれないが、おいしい。そもそも酢飯や具材の味付けが良いし、ゴマやショウガ、レモンなど各具材に合う味のアクセントも効かせてある。さすが加賀百万石のお膝元の郷土料理です。
〈熊本市・五木食品㈱〉
アベックラーメン(2人前 193円)
 県外の私でも、「熊本県民のソールフードの一つ」と聞いたことがあるアベックラーメン。昭和35年の発売以来、ずっと愛され続けているロングセラー商品だ。
 ショップのご担当者も「私の実家ではほとんどインスタント食品は食べませんでしたが、父がアベックラーメンだけは『昔からある!』と言って食べるため、私も時々食べていました。懐かしく、そしてあとを引く味なので、時々、無性に食べたくなります」とのこと。お父様もアベックラーメンの魅力にはあらがえなかったのでしょう。微笑ましいエピソードですね。
 作り方は簡単で、鍋で湯を沸かし、麺を3分間茹でてペースト状のスープの素を入れるだけ。香辛料を聞かせたあっさり塩味のスープは確かにクセになる味わい。とんこつ味もある。
 なぜ「アベック」かは、2人前のため、発売当時の流行語「アベック」を商品名にしたのだとか。味も名前もパッケージも、何もかも懐かしく微笑ましい商品です。
アベックラーメン
 
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。(朝日新聞デジタル連載記事