
プールからの帰りに乗ったシャトルバスが間違っていることに気付き、途中で降りなければなりませんでした。暑い上に泳いで小腹が空いていたので何か食べて行こうかなと思って周りを見渡していたら、「アバイ・フェグッス」という看板が目に入りました。
江陵ではかなり有名なお店で、一度食べた人は必ず常連になるという話を友達から聞いていたこともあって、ここにお邪魔することにしました。

「アバイ・フェグッス」の外観
入口でやり取りした後、親切に席まで案内してくれるレストランも良いけれど、お店に入って席に座ると静かに水を出してくれる庶民的なお店は、エアコンの風さえ冷たければ、暑い夏にはむしろ気楽だと思ったりします。
忙しいランチタイムの直後だったので他にお客さんはいませんでしたが、まだ落ち着かない様子のおかみさんが、席に座っている私に気づいて急いで注文を取りに来てくれました。私はここのメイン料理であるフェグッスを頼みました。一人前6,000ウォンです。

「アバイ・フェグッス」の店内。お客さんはわたしだけ…
フェグッスのフェ(회)は刺身、グッス(국수)は麺類のことで、冷たい麺に刺身や野菜、海藻をヤンニョム(唐辛子ベースのソース)で和えた具を混ぜて食べます。この日のお刺身はカレイでした。
ご主人がキッチンで、麺茹でから味付けまで一人で暑さも忘れたように仕事に集中している姿が席から見えます。

これが、フェグッスのセット
しばらくするとご主人の作品ができあがって運ばれてきました。普通の冷麺とは違って、盛り沢山の具はお皿に、そしてトビウオの卵、キュウリ、海苔、ネギがトッピングされた麺は器にと、二つに分かれて出てきました。

具と麺が別々に出てきます
まず、具をそのまま試してみました。写真からも予測できるように、辛くて酸味も強く、一口で暑さに疲れた食欲が甦ります。砂糖だけではなくリンゴの果汁を使って甘さを出しているのでとても豊かな味がします。
ゴマ油の香ばしさとワカメとヒジキの海の香りと、大根とタマネギのサクサクした食感も印象的でした。ご主人のがっちりした見かけと違って、このように繊細な味覚を持っていることにも驚かされました。

では、具を麺にのせて… / 良く混ぜました
具をそうめんにのせて良くかき混ぜてから食べると、全体的にまろやかになってコシのある冷たいそうめんととても合います。突き出しの白キムチは辛さと酸味で鈍くなった舌の感覚を復活させてくれ、水分がたっぷりなので喉ごしも良くしてくれます。
野菜が盛り沢山使われているのも嬉しいですが、何よりもそうめんと野菜との間にさりげなく現れる身の締まったカレイのお刺身は味よりも食感の方がすばらしくて、普通の冷麺との最も大きな違いを感じました。
食後、熱い煮干のスープをポットに入れてコーヒーカップと一緒に出してくれました。コーヒーカップでスープって、最初は変な感じでしたが飲んでいるうちになんとなく面白くていいなと思いました。
冷たいそうめんで暑さを冷やして暖かいスープで体内を温かくしたら、再び、暑い外に出る勇気が出ました。実は、財布を忘れて来たことに気付いていなくて、フェグッスの代金を払ったら、帰りの交通費が足りなくなり、歩いて帰ることになってしまいました。でも、家族や友達に美味しいお店を紹介できることを考えると足が軽く感じられました。
◆今月のおまけ写真 - 相撲(シルム、韓国相撲)
毎年6月に江陵で行われる相撲大会の模様です。一般人の参加者が少ない時は、軍人の参加者たちが主となっています。日本の相撲とは違い、土俵の外に出ても負けにはならず、様々な技を使って相手の膝から上を地面につければ勝ちです。

◎ハングル単語メモ
- 가자미(ガジャミ):カレイ
- 회(フェ):刺身
- 국수(クッス、ククス):麺類
- 씨름(シルム):韓国相撲
- 친구(チング):友だち
- 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。