
本格的に暑くなる前に、もう一度海岸に沿って歩いてみたかったので、再び済州島を訪れました。今回は、城山日出峯という美しい山が見える東海岸に沿って12キロメートルほど歩きました。城山日出峰は標高182メートルあり、済州島にある多数のクレーターの中では珍しい海中噴火でできた火山です。

「城山日出峯」と書かれた石碑 / トルハルバン像の後ろに見えるのが城山日出峯

城山日出峯の山頂展望台からクレーターの中を見る / 同じく山頂から見える町の景色
歩き疲れてきた頃に一軒の宿が目に止まりました。周囲には他に宿は見当たらず、海への眺望が開けているきれいな民宿でお値段も手ごろだったので、ここに泊まることにしました。
宿のおばさんに翌朝の朝食をお願いして、その夜は海の音を聴きながらぐっすりと眠りました。

海沿いに一軒だけあった民宿 / 宿の前の海岸に奇妙なオブジェが並んでいた
予約なしで、しかも一泊5,000ウォンという格安のお値段だったので、もちろん期待はしていなかったのですが、しかし翌朝、済州島で今までで一番おいしい食事をすることになりました。
おばさんの手作りの味が感じられる海の幸がたっぷりと並び、中でもウニ入りワカメスープは絶品といっても良いほど素晴らしい味でした。
ウニとワカメはどちらも済州島の名物ですが、今までこのようなスープを味わう機会がなかっただけに大きな喜びとなりました。

おいしかった朝食! / これがウニ入りワカメスープ。ウニがたっぷり!
ワカメスープというと韓国ではお誕生日に必ず食べますが、ワカメは血をきれいにし血液の循環を促進するとされ、よく食べられる食品です。
ワカメスープは出汁をとる材料によって様々な種類があり(牛肉、干し明太、カキ、アワビ、ムール貝など)、作り方もそれぞれ少し違います。
ウニ入りワカメスープは、イワシと昆布でとった薄口の出汁に、適当な大きさにカットしたワカメを入れ、沸騰したらウニを入れて弱火で少し煮て醤油と塩で味を調えてできあがりという、とても簡単な調理法です。
新鮮なウニの香りと味を活かすためには、むしろこのようなシンプルな調理方法があっているように思います。

小ガニの炒めもの / ワラビの和えもの / サザエの串焼き
朝食のおかずは、他にも醤油とごま油でいためた殻まで食べられる小ガニ、味が良いことで有名な済州島の天然ワラビの和え物、済州島の黒豚を自家製醤油に漬け込んで焼いた串焼など、すべて済州島でとれたもので、それぞれの持つ味がしっかりとしていて、良い環境で育ったことがわかりました。本土ではなかなか食べられない貴重なものでした。
しかし、ウニ入りワカメスープはその中でも別格でした。新鮮なウニの香りがとても良くて、口の中で長く噛んでいたくなるほどです。ワカメもとても柔らかく、喉をするりと通りました。
食事の間、おばさんはずっと私たちのそばに座って、都市での生活について質問したり、済州島の生活についても語ってくれました。
済州島では陸と海から良いものがたくさんとれるので、勤勉な人であれば誰でも余裕を持って生活できるそうです。そのため、最近は本土から移住してくる若い人が増えているそうです。

宿の前の海に潜る準備 / おばさんが採ってきてくれた生ウニ
朝食が済むと、おばさんは海に出かける準備をして、おいしい生ウニを味わってもらうからといって、家の前の海に潜り始めました。
午後になって、驚くほどの量のウニやアワビをとって家に帰ってきました。
そして、すぐにさばいて私たちに食べさせてくれましたが、深い甘さを感じさせるウニに本当に感動しました。
翌朝ももちろんおいしいウニ入りワカメスープをたっぷりと味わいました。
このような素晴らしい朝食を作ってくれたことに対し感謝の言葉を伝えたら、冷蔵庫にあるものを出しただけだといいながら、おばさんが育てたジャガイモやニンニクなどで私たちのカバンを一杯にしてくれました。

おばさんが世話をしている畑。済州島の土は黒い / 民宿の裏になっていた金柑
◆今月のおまけ写真

◎ハングル単語メモ
- 성게(ソンゲ):ウニ
- 자연산(ジャヨンサン):天然
- 미역(ミヨク):わかめ
- 고사리(ゴサリ):わらび
- 명물(ミョンムル):名物
- 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。