

地元・江陵市の海岸。韓国内でも有数の海水浴場として知られています
蒸し暑い日々が続いていますが、みなさん夏バテしていませんか? 夏は体の外は暑く感じますが、体の内は冷えやすくなるので、消化力も抵抗力も弱くなると言います。
韓国では、旧暦6月から7月の間でもっとも暑い3日間を「サンボク(三伏)」といい、順に「チョボク(初伏)」「ジュンボク(中伏)」「マルボク(末伏)」と呼びます。これらの日には、暑さで疲れた体に元気をつけるために栄養たっぷりで体の中を温めてくれる「蓼鶏湯(サムゲダン)」を食べます。日本で土用の丑の日にウナギを食べる習慣と良く似ていますね。

百済蓼鶏湯の蓼鶏湯
以前、友人が隠れたおいしい店だよと紹介してくれた「百済蓼鶏湯(백제 삼계탕)」に再びお邪魔しました。地元の江陵ではありますが、このお店は住宅街に溶け込んでいて、一度行ったことがある私でも探すのに少し手間取りました。しかし、その味は一度味わうと忘れられません。

古い民家を改造したお店 / 緑豊かな庭が涼しげ
古い民家を改造したというお店は、広い庭にテーブルや椅子がたくさん置いてありました。メニューは唯一蓼鶏湯だけで、お値段は12,000ウォン(約900円)とやや高めですが、最近、韓国の物価が不安定で材料の価格が高くなったために、仕方なく以前の10,000ウォンから値上げしたそうです。

店内のようす / メニューはこれだけ!
蓼鶏湯は、鶏の内臓を取り出してきれいにした後、胴体の中にモチ米、栗、ニンニク、ナツメなどを入れ、なべに水を多めに張ってお肉が柔らかくなるまで煮込みます。
鶏一羽分が丸ごとトゥッペギ(韓国の蓋付き土鍋)に入って出てくるので、熱さが長く保たれます。とても熱いので、お肉を皿に取って冷ましながら塩を付けて食べるのです。

最初にスープを味わってみましたが、鶏ガラを大量に使って作った味とは違って、鶏一羽を丸ごと使っているので、薄口ですが豊かな味がします。油も程良く出ていて、よりマイルドにしてくれます。ニンニクとニンジンの香りが残って後味もすっきり感があり、とてもおいしかったです。

トゥッペギから取り出した状態 / 身をほぐしていくと詰め物が現れます
若い鶏を使うのでとても柔らかく、口に入れるとホロホロと崩れ、そのまま喉を通っていきます。蓼鶏湯は骨まで食べられると良く言われるので試してみましたが、あまりお奨めできる味ではないと思いました。ニンジン、ナツメ、ニンニクは味を楽しむというよりはスープに香りを付け加えるためのものですが、鶏肉と一緒に煮込んであるので味も食感もソフトでした。
最後に、残しておいたモチ米をスープと良く混ぜるとおかゆ状態になるので、これを目当てに来る人も少なくないようです。モチ米とスープが調和してとてもおいしいので私も大好きです。

そして、鶏一羽丸ごと、残るものなくきれいに食べきりましが、汗をたくさんかいた後、韓国人は嬉しそうに「涼しい」と言って満足感を表します。
この日は年配の方や通勤軍人が多く見受けられましたが、おいしいものを食べた後の表情はみな一緒でした。

◎ハングル単語メモ
- 삼계탕(サムゲタン):蓼鶏湯
- 대추(デチュ):ナツメ
- 인삼(インサン):ニンジン
- 군인(グンイン):軍人
- 더위(ドウィ):暑さ
- 밤(バム):栗
- 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。