
とうとう今年も12月になってしまいました。忘年会やクリスマス・セールなどで韓国はすでに年末の雰囲気です。いずれにつけても飲み会が多くなりますね。
そこで、今回は韓国の冬の代表的なお酒のつまみ、アルタン(卵湯)をご紹介しましょう。

店頭に並べられた鍋のサンプル/アルタン専門店の店頭
ソウルの広場市場を再び訪ねました。今年の春、ビンデトック(緑豆チヂミ)を取材しに来た時見つけたアルタン専門店通りが気になっていたからです。こちらのアルタン専門店は、色々な種類の卵と野菜のたっぷりと入った鍋を入り口の方にずらりと並べてあるので、その中の一つを選ぶとすぐ出汁を注いでお客さんのテーブル上にあるガス台に乗せて煮ます。
お鍋一つが2人前で14,000ウォンです。追加の明太子は6,000ウォンです。
(※当初掲載時、「お鍋一つが1人前で7,000ウォン」としていましたが、誤記でしたので訂正しました。2010年12月3日)

基本の具を入れた鍋がずらりと並んでいます/ お客さんが一杯の店内
一般的な調理方法は、まず、干しイワシ、干し海老、昆布などで出汁を取ります。明太卵や白子などは塩水でさっと汚れをすすぎ落とします。粉唐辛子、醤油、アミの塩辛、料理酒、ニンニクのみじん切り、タマネギと生姜の絞り汁を良く混ぜてヤンニョム(たれ)を作ります。
大根、長ネギ、青唐辛子、赤唐辛子、豆もやし、春菊を食べやすい大きさに切って準備しておきます。そして出汁にまず大根とヤンニョムを入れて大根が煮え始めたら、明太卵と豆もやしを入れ、ふたをして煮立てます。用意しておいた他の野菜を加えてもう一度沸騰させます。最後に春菊を入れて塩加減をします。

これで2人前/美味しそうに煮えていくお鍋…
お鍋が煮えて行く間、美味しそうに赤くなっていく明太卵を見ていたら、経済的にあまり余裕のなかった大学時代のことが頭に浮びました。何でも美味しいと思う年頃でしたが、アルタンに目がない私にとって、真冬に仲間とアルタン一つをつまみにしながら、外の寒さも忘れて夜遅くまで語り合った思い出があります。
この店の鍋には、生えび、明太卵、白子がたっぷりと入るのでとてもうれしいです。冷凍は一切使わないそうですし、これだけ良い材料をたくさん使うのなら、自分でもおいしく作れそうな気もしました。深いけどとてもさっぱりしているスープの味はなんとも言えません。
アルタンはお酒のつまみにはもちろん、体を温めてくれるので、ご飯のおかずにも最適です。それに、韓国人は二日酔いの朝には熱いスープが飲みたくなるので、そういう時にもぴったりです。

韓国の演歌を唸るカウンターの人/かわいいおじいさんですね

私にも1曲吹いてくれました/典型的な屋台。なんでもあります
広場市場には、サキソホンの演奏をする楽士のおじいさんがいます。こちらではなかなかの有名人らしいですが、私はこの日初めて会いました。 屋台で飲んでいる人から、お酒を一杯もらうと昔の懐かしい歌の演奏が始まりました。それに合わせ、屋台で飲んでいるおじさんが目をつぶってその歌を歌い始めました。
この夜はソウルに初雪が降っていましたが、広場市場に来ると、色々な意味で心温かくさせてくれるので、また来たくなります。
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알(アル):卵
시장(シジャン):市場
송년회(ソンニョンフェー):忘年会
숙취(シュクチ):二日酔い
활기(ファルギ):活気
- 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。