
2月14日はバレンタインデーでしたね。この日は、韓国でも女性が好きな男性または会社の同僚や友達にチョコレートをプレゼントします。
今年は旧正月とバレンタインデーが重なったおかげで、チョコレートの売上げが例年に比べてガクッと減り、関連業界は大きなショックを受けました。
さてさて、それでは今回ご紹介する韓国伝統のお粥の話題にいってみましょう
韓国伝統のお粥は、白粥(お米だけで作ったお粥)、駝酪粥(牛乳を混ぜたお粥)、木の実のお粥(松の実、くるみ、ナツメなど)、豆のお粥(大豆、小豆、緑豆など)、海鮮お粥(かき、アワビ、貝類など)、牛肉のお粥、各種野菜のお粥など多くの種類があります。
今回ご紹介する「カボチャのお粥」は、韓国では冬の味として親しまれており、来韓する私の友人には必ず味わってもらいます。
他のお粥は、それに似たお粥を経験できるか、その味をある程度想像することができると思いますが、カボチャのお粥の味は皆さん想像できますか?

これが「カボチャのお粥」。おいしそうでしょう?
カボチャのお粥は、韓国で「ヌルグンホバク」と呼ばれる完熟したカボチャで作るのが一般的です。「ヌルグンホバク」とは「老けたカボチャ」の意味で、畑で完熟したものを秋に収穫します。
しかし、完熟したカボチャは腐りやすいので、最近は店頭に並んでいるのを見つけるのが難しくなりました。

これが「ヌルグンホバク」。最近は手に入れるのが難しくなりました。
では、母に「カボチャのお粥」を作ってもらいます。
今回は「ヌルグンホバク」が手に入らなかったので、皮が緑色の普通のカボチャで作りました。
まず、カボチャの中身をきれいに取って皮をむき、適当な大きさに切り分けます。

お鍋で水から煮ます。カボチャが柔らかくなったら、茹で汁を加えてミキサーにかけます。

もち米粉に塩少々とお湯を加えてよく練り、親指の大きさ位に丸めてお団子を作っておきます。
ミキサーにかけたカボチャをお鍋に入れ、約6〜7倍の量になるように残りの茹で汁も加えて火にかけます。

沸騰したらお団子ともち米を加え、よくかき混ぜながら煮ます。
仕上げにゆで小豆と砂糖・塩を少々入れて完成です。
食べる時は、好みで砂糖をもっと入れたりもします。

これで「カボチャのお粥」のできあがり
カボチャにはビタミンとミネラルが豊富に含まれており、お肌をしっとりさせる働きや、老化の予防、高血圧や糖尿病などに效果があるといわれます。
また、韓国では産後のむくみを取るのに最適といわれており、出産を経験した女性ならカボチャのお粥を一度は食べたことがあると思います。
カボチャのほのかな甘みが絶妙でいくら食べても飽きません。もち米を加えることで軽い粘りがあり、ほかのお粥とはまた違う魅力な味です。
韓国では最近お粥の専門店があちらこちらにできており、なかなかの人気です。お見舞いに行く時(テイクアウトがあります)や食欲のない時にお粥の専門店を利用します。
なかでも一番人気があるのが「本粥(ボンジュク)」。650ものお店を展開するお粥専門店で、日本では新大久保や新宿にチェーン店があります。
機会があれば韓国のお粥を味わってみてはいかがでしょうか。

お粥専門店「本粥(ボンジュク)」の店頭とメニュー。30種類を超えるメニューが並んでいます。

「本粥(ボンジュク)」の店内とこのお店のオーナー。何度も取材でお邪魔しましたが、キッチンで働いていたオーナーが毎回ホールに出てきて気を配ってくれました。ポーズを取ってくださいとお願いしたら、照れくさそうに椅子に座ったまま笑っていました。

「本粥(ボンジュク)」の「カボチャのお粥」。おかずにキムチと牛肉の醤油煮付け、大根とイカの和え物、水キムチが付いて、これで7,000ウォンです。かなり量が多いので、食べきれない時はテイクアウトもできます。おかずまで持ち帰ることができるように容器が揃えられています。
私の母はカボチャお粥を作る腕前が町内で評判になるほど上手です。良いカボチャが手に入るとカボチャのお粥を作って知り合いに配るのが母の楽しみのようです。
2年前のことになりますが、母の友人のご主人ががんの末期症状で食事をほとんど取ることができなかったのですが、母が作ったカボチャのお粥だけは召し上がったそうです。
亡くなる前、最後に召し上がったものも母が作って私がお届けしたカボチャのお粥でした。
私はいまでもカボチャのお粥を見るたびに、この時のことを思い出します。
◎きまぐれハングル一口メモ
バレンタインデー(발렌타이데이):韓国では「バレンタインデイ」と、最後の「イ」をはっきりと発音します。
カボチャのお粥(호박죽):hobak juk ホバック(カボチャ)+ジュク(お粥)
ヌルグンホバック(늙은 호박):nulgun hobak 直訳すると「老けたカボチャ」と意味。完熟したカボチャのこと。他の野菜にはあまり使わない表現なのですが、カボチャの場合はなぜかこういいます。
- 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。