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こんにちは、金昭英です。韓国は日中の日差しはまだ強いですが、朝夕は結構凉しい風が吹くようになりました。秋の訪れを少し感じるこの頃になると思い出す食べ物が「チュオタン(鰍魚湯)」、日本流にいうと「どじょう鍋」です。どじょうの漢名は鰍魚。秋に一番良い味を楽しめると言うことで名付けられたそうです。
ということで、今回はチュオタンを紹介してみたいと思います。

ひとつは、「江原道式チュオタン」といい、スープにコチュジャンと味噌を溶いて沸かし、そこへ、生きたままのどじょうとお豆腐を一緒に入れるという調理法です。
熱さに驚いたどじょうは豆腐に潜り込んで姿を隠してしまいます。煮上がったら、生姜と青唐辛子を入れ豆腐を適当な大きさに切り分けて食べます。友人に聞いたところ、日本にも同じような料理方法があるらしいですね。
もうひとつは、全羅道の「南原式チュオタン」で、韓国では一番好まれています。どじょうを水から煮て柔らかくしてつぶします。それを牛肉や鶏肉で作ったスープに入れて、お塩、味噌、醤油、生姜、唐がらしなどで味つけしていただきます。
今回は「南原式チュオタン」の方をご紹介します。

◆チュオジョン南原チュオタンの店頭と店内。
今回取材に訪れたお店は、ソウルを中心に10店鋪以上ある南原式チュオタンで有名なチュオジョン南原チュオタンです。
お昼時にはお客さんがずらりと並ぶほど混むという噂を聞き、友人とふたりで行ってみました。店の入口には新鮮などじょうが泳ぐ水槽があり、店内の広々とした空間と緑豊かな外の景色は、都心ではなかなか得られないゆとりを感じます。

◆私たちが頼んだ定食(写真は2人前)。左が「チュオタン」。右下は「鴨薫製」。
右上は「どじょう天」、どじょうをエゴマの葉に包んで揚げたもの。
私たちはチュオタンにどじょう天と鴨薫製サラダがセットになっている定食(2人前から)を頼みました。お値段は昼食としてはちょっと高めの一人1万ウォンですが、食べ終わる頃にはお得感を強く感じました。

◆韓国料理で欠かせない楽しみが「つきだし」です。もちろん定食にも付いてきます。

◆最近はやっている出し方でキムチとカクテキを小さいかめに入れてくれます。
お客さんは好きな分だけ取ってハサミで切って食べます。

◆韓国人はこうやってスープの中にご飯を入れて食べるのが好きですね。
どじょうを丸ごと細かくつぶしてスープを作っているので味が濃いのですが、各種野菜がたっぷりと入ってしつこさもなく、どじょうが苦手な人も軽く食べることができます。辛いながらも香ばしいスープにご飯を丸ごと入れてフウフウ吹きながらあっという前に完食してしまいました。
どじょうを惜しまずたっぷり入れたチュオタンの濃いスープの味にこだわる社長の心のように、取材にも本当に細かいところまで気を配っていただきました。それでは来月をお楽しみに!
- 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。