


熱海城からパノラマで見渡す熱海市街

湯~遊~バス | 貫一お宮像

贅を尽くした起雲閣の洋館

旅館に使われた起雲閣の和室

芸妓姿に艶めく熱海市街

名物のキチプラスの「三色丼」

温泉卵ができる道端の「小沢の湯」
コロナ禍で巣籠りぎみの日、春めく陽射しに誘われてふらっと熱海を訪れた。駅前の思いのほかの人出の多さに、変わらぬ人気ぶりを実感する。駅前の「家康の湯」にも数人が足を浸していた。
坂と断崖の町・熱海は1日乗車券(800円)で気ままに乗り降りできる市内名所めぐりの「湯~遊~バス」が便利である。
最初に下車したのが海岸沿いの「お宮の松」。明治時代、尾崎紅葉の小説『金色夜叉』で、悲恋物語と熱海の名が全国に知れ渡ったことを記す「貫一お宮」の銅像が立っている。
その背後から南に延びるのが青い相模灘を前にする白砂とヤシ並木の「熱海サンビーチ」。夏はカラフルなパラソルや水着で華やぐ熱海のシンボルステージだ。朝に昼に夜に、いつの季節も絶好の散策地や休息地として人影が絶えない。
しばらくはバスに乗らずに海岸沿いを「親水公園」まで歩く。その先の「マリンスパあたみ」に立ち寄って、海を見下ろしながら日帰り入浴やウオータースライダー、ジャグジー、プールなどいろいろに温泉を堪能した。
湯遊びのあとは周遊バスで断崖の絶景「錦ヶ浦」や見学施設の「熱海城」、ハーブやバラの花の楽園の「アカオハーブ&ローズガーデン」を経由して市街地へ。途中下車して海を眼下に明るくひらける熱海市街をパノラマで見下ろすのも爽快だ。
市街地に戻って起雲閣西口から少し歩く「起雲閣」は、3000坪の敷地に“海運王”と呼ばれた内田信也が大正時代に建て日本建築に始まる別荘。昭和初期からは”鉄道王“と呼ばれた実業家・根津嘉一郎が建築美を駆使した洋館を増築し、庭園を整えた。”熱海“の三大別荘”で知られている。
別荘は戦後すぐに旅館として生まれ変わり、熱海を代表する名宿として名を轟かせた。山本有三、谷崎潤一郎、太宰治、船橋聖一ら多くの文豪に愛された部屋がそれぞれ保存展示されている。
近くの「熱海芸妓見番」では毎週土・日曜に「華の舞」が催される。出入り芸妓さんの姿にあたりが艶めく。
バスルート沿いに駅まで歩く道に噴出する源泉の大湯間歇泉や小沢の湯、野中の湯に温泉郷・熱海を実感。しらす、桜エビの名物「三色丼」でお腹を満たした。
〈交通〉
・JR東海道新幹線熱海駅下車
〈問合せ〉
・熱海市観光協会☏0557・85・2222