


休暇村越前三国の評判の豪勢な越前ガニ料理

栄華の面影を色濃く残すきたまえ通りの旧岸名家

建築技術を生かした洋風の旧森田銀行本店

甘酒の香としっとり甘い餡の三国名物「酒まんじゅう」

晩秋から春先まで三国湊はカニで活気づく

柱状節理の断崖が迫る海岸風景の東尋坊

和・洋室、温泉完備、日本海一望の休暇村越前三国
例年11月6日にカニが解禁されると、旬を味わおうと関西方面から多くの人々が食事処や旅館・ホテルに押し寄せる。
その季節を前にした三国へ、福井駅から実り豊かな田園地帯を走るえちぜん鉄道で訪れた。駅前通りの「にしさか」で名物の酒まんじゅうを買い、3分ほど歩いて古い町並みの三国湊きたまえ通りに出た。
道の沿いにはかつて材木商で財を成した千本格子の旧岸名家や観光案内の拠点に活用された三国湊町家館、廻船業主から転業した旧森田銀行本店などが連なる。風雅な町並みに栄華の時代がしのばれた。
ここ三国湊は江戸時代から明治中期まで大阪と蝦夷(北海道)を結んで日本海を航行しながら物資を売り買いした北前船の出入りで栄えた港町。九頭龍川河口には廻船問屋の屋敷や土蔵、商家、遊郭が多数並んだという。
少し北に歩いた出村町並みは、江戸初期から日本海岸有数の賑わいを誇った遊郭街で、小料理店や仕舞屋(しもたや)が今も残る。三国に5年住んだ詩人・三好達治のお気に入りの元料亭や三国生まれの小説家・高見順の生家も近くにあった。
寺や町家などが混じる通りをえちぜん鉄道終点の三国湊駅まで歩く。かもめ通りに出ると目の前が九頭龍川。川岸には漁から戻った漁船が数隻、碇泊していた。
折よく来た芦原温泉駅行きのバスで5分ほど。遊歩道口で降りて、海岸と黒松林を縫って東尋坊へ続く荒磯遊歩道を歩く。
三国ゆかりの詩人や小説家の詩文を刻んだ碑が点在する文学碑の小径で、最初に出合う高見順文学碑には、私生児として生まれた苦悩を抱えながら故郷を思う自筆の詩が刻まれている。「おれは荒磯の生れなのだ/おれが生れた冬の朝/黒い日本海ははげしく荒れてゐたのだ……」
海岸伝いの小径を抜けると柱状節理の断崖が青い海に迫り出す豪快な海岸風景の東尋坊に出る。遊覧船から見上げるといっそう迫力を感じる。
小路を間に飲食や物販の店が連なる商店街はカニの解禁で人出であふれる。東尋坊の「休暇村越前三国」も11月から3月にかけて越前ガニの料理が大人気で、休日など半年前から予約でいっぱいだ。温泉に浸かり、部屋から日本海を見下ろすした。運よく日本海に沈む夕日に巡り合えた。
〈交通〉
・福井駅からえちぜん鉄道で約50分、三国駅下車
・JR北陸本線芦原温泉駅からバスで東尋坊まで40分、三国駅まで50分
〈問合せ〉
・DMOさかい観光局☏0776・82・1555
・休暇村越前三国☏0776・82・7400