


上杉家の歴史がしのばれる松が岬公園

敬愛される名君の9代藩主鷹山公像

14代藩主茂憲の旧邸宅の上杉伯爵邸

展示が工夫されてみごとな上杉博物館

上杉城史苑で食べた「米沢牛すき焼き丼」

米沢銘菓で名高い永井屋の「時雨の松」

杉木立の中に12代が眠る上杉家廟所
米沢城や城下町の名残は山形新幹線米沢駅の西方、バスで10分ほどにあるが、大火などで櫓や居館、屋敷など建物は失われた。しかし町の中心にある堀や石垣が残る城跡の松が岬公園では「毘」と「龍」の上杉家の軍旗に迎えられる。
城跡に立つ藩祖上杉謙信を祀る上杉神社の参道には謙信公と鷹山(ようざん)公の像、神社の横には上杉家の遺品や遺墨等を展示する稽照殿が歴史を語り継ぐ。
旗印の「毘」は謙信公が深く信仰し、自らをなぞらえた軍神の毘沙門天の頭文字。また崩し文字の「龍」は四天王の多聞天(不動明王)を指しているという。
ご存じのように上杉謙信は春日山(上越市)を本拠に越後を統一した、義に厚く酒と戦を愛した戦国大名。鷹山は10歳で上杉家の養子となり、減封、失政、災害などで存亡の危機に陥った藩を、17歳で9代目藩主として自ら質素倹約の下、殖産振興、学問奨励などの施策で立て直した名君である。「なせば成るなさねば成らぬ何事も成らぬは人のなさぬなりけり」の言葉や業績で市民に今もなお敬愛されている。
城跡のそばにある上杉家に伝わる国宝など多数展示する上杉博物館、米沢牛料理も食べられる14代藩主茂憲の住まいだった上杉伯爵邸でも歴史が身近になる。城跡の北西1キロある、杉木立に包まれて初代謙信を中心に左右に歴代藩主の墓碑が整然と並ぶ上杉家廟所には地元の人や観光客の訪れが絶えない。
上杉神社前の土産販売と食事処の上杉城史苑前の米沢牛コロッケのおいしい匂いにそそられて、店内にあるレストランに入ってランチメニューの米沢牛すき焼き丼を注文した。きめ細かくて軟らかくうまい味に満足する。
土産物の売店には米沢牛の精肉やしぐれ煮をはじめ米沢鯉、青菜漬、銘菓「時雨の松」、最中クッキー「なんじょだべ」(方言で『いかがですか?』)、米沢織、お鷹ぽっぽなど鷹山公のゆかりや郷土色豊かな品物が並んでいる。
なかでも「時雨(しぐれ)の松」は特産の青畑大豆(青大豆)を煎って細かく挽いたきな粉にシロップを練り合わせて木型に詰めて固めた伝統銘菓。きな粉の香ばしさとやさしい甘さがおいしくて懐かしい。鷹山公に献上した折に褒められた「時雨に色を増す松のよう」が菓名の由来という。
この町には鷹山公がそこここに息づく。
〈交通〉
・山形新幹線・奥羽線米沢駅下車
〈問合せ〉
・米沢市産業部観光課☏0238・22・5111