


舟めぐりもできる木立に包まれた八幡堀

黒塀に見越しの松の屋敷が並ぶ新町通り

地場産業を伝承するかわらミュージアム

街をつくった豊臣秀次とヴォーリズの像

人気のクラブハリエのバームクーヘン

「近江西川」のランチ、近江牛焼肉弁当

郷土の味で評判の「喜兵衛」の近江御膳
秀次は琵琶湖の水を引き込むために八幡堀を開削し、湖上往来の船の寄港を義務付けたので人や物が集まり、商活動の舞台となった。近江八幡のシンボルとして、今は観光の主要舞台になっている。
後継と目された関白秀次は、秀吉に実子秀頼が生まれると、疎まれ謀反を理由に、高野山に追放。自害に追い込まれて一族も側近も滅ぼされる。引き継いだ城主もわずか5年で廃城に。路頭に迷った城下の商人たちは天秤棒を担いで全国を行商。後世、大活躍の近江商人の発祥といわれる。
石垣や浜倉が並ぶ堀端には花や樹木が植えられ、石畳を観光客が行き交い、水辺を水郷めぐりの船が往来する。TVドラマや映画のロケによく使われる。
周辺には倉や商家を生かした近江牛や湖魚、赤コンニャクなどを使った「喜兵衛」や「浜ぐら」などの料理店や菓子店が並び、観光スポットになっている。
菓子なら「たねや」の手作り最中のふくみ天平、「クラブハリエ」のしっとり甘いバームクーヘン、「和た与」の竹皮に包んで蒸した丁稚羊羹などに人気がある。
南側一帯の新町通りから仲屋町通りにかけては、旧西川家や旧伴家などの広壮な商人屋敷が並び、近江商人のふるさとを印象づける。通りには「近江西川」など近江牛や郷土料理の店が点在し、腹ごしらえや足休めに事欠かない。
観光情報を得ようと立ち寄った洋館の白雲館で、観光物産協会の田中宏樹事務局長に教えられて、点在するヴォーリズ設計の洋風建築物を気に止めて歩いた。
ウイリアム・メレル・ヴォーリズは明治後期、アメリカから英語教師として近江八幡に来た宣教師で建築家、社会事業家。メンソレータムの輸入や病院や学校、図書館を開設するなど、日本人を妻に終生日本に在住し、大きな社会貢献をなしている。
目をひくのはヴォーリズが手がけたメンソレータムの近江兄弟社や八幡商業高校、ヴォーリズ学園など。さらに設計したヴォーリズ記念館やクラブハリエ・カフェになった旧忠田邸、無料公開の旧八幡郵便局など多くのモダンな洋風建築は、城下町にしっくり溶け込んでいる。
山麓には近江商人の守護神として信仰厚い日牟禮八幡宮、地場産業の八幡瓦など瓦専門のかわらミュージアム。ロープウェイのかかる八幡山には城跡や悲運の秀次の菩提を弔って生母が建立した村雲御所瑞龍寺などが歴史をしのばせる。水郷風景と併せて訪ねたい町である。
〈交通〉
・JR東海道本線近江八幡駅下車
〈問合せ〉
・近江八幡観光物産協会☏0748・32・7003