


浄土庭園のイメージを盛り立てる花菖蒲

池中立石を配した毛越寺の大泉が池

藤原三代の栄華の象徴の金箔まばゆい金色堂

巡回バス「るんるん」と表参道月見坂

平泉レストハウスの「平泉もち御膳」

実演販売の佐々木製菓の「名代厚焼」

藩主の苗字を冠した銘菓「田むらの梅」
駅前にレンタカーやレンタサイクル。春から秋にかけては土・日曜、祝日に平泉巡回バス「るんるん」が運行しているというので1日フリー券(450円)で、最初の停留所の毛越寺(もうつうじ)で下車した。
毛越寺は藤原氏2代基衡(もとひら)、3代秀衡が造営した寺で、金堂円隆寺をはじめ多数の堂坊が並び、中尊寺をしのぐ規模だったという。今は建物の大半はないが、海を表現した大泉が池の立石は毛越寺庭園のシンボル的景観で、花菖蒲などと併せ浄土庭園を表現している。
毛越寺の次は悠久の湯・平泉温泉、さらに平泉文化遺産センターに停まって中尊寺へ。バス停からは老杉に覆われた表参道月見坂を息を弾ませ足取りも重く、弁慶堂、薬師堂、本堂などに寄って約20分。
中尊寺は慈覚大師円仁によって創建。その後、この地を治めた初代藤原清衡(きよひら)が堂塔を造営。当時から唯一残るのが一山の象徴的存在の金色堂である。
鞘堂(さやどう)という建物にすっぽり覆われた中にまばゆいばかりの金箔を押された阿弥陀堂があり、藤原氏4代の遺体が安置されている。
松尾芭蕉が『おくのほそ道』で「五月雨の降り残してや光堂」と詠んだ建物で、897年以来の歴史を今に伝える。国宝や重要文化財、仏教美術、工芸品など多数収蔵、展示されていた。
この地に奥州藤原氏が黄金の仏国土を開いたのは平安時代後期で、清衡、基衡、秀衡3代が100年続いた。この間、西行法師が訪れ、兄頼朝に追われた源義経が弁慶とかくまわれた。
西行や義経を慕い、藤原三代の栄耀をしのび、滅びしものに心寄せる松尾芭蕉が江戸・元禄時代に訪れ、「夏草や兵どもが夢の跡」と詠んだ句はよく知られている。
月見坂を下って、腹こしらえに「平泉レストハウス」のレストラン「源」に入る。
お会いした社長の小野寺仁さん。「例年なら紫陽花や花菖蒲の季節、全国から高校生や中学生の修学旅行で大にぎわいなんですが……」と緑鮮やかな表参道月見坂に目をやりながらポツリと呟く。
名物は前沢牛やそばなどいろいろあるが、岩手は餅が伝統食。あんこ、ショウガ、ずんだ、なめこおろしなどそれぞれの味が楽しめる「平泉もち御膳」(1600円)を賞味する。質量ともに満足した。1階には手軽に手早く食べられるフードコート「門」もある。
1階のおみやげ処では、店内で焼く実演販売の「名代厚焼」(佐々木製菓)や銘菓の「田むらの梅」(松榮堂)、「伝説義経の北行」(文秀堂)などを買った。
〈交通〉
・JR東北本線平泉駅下車
・JR東北新幹線一ノ関駅からバス
〈問合せ〉
・平泉町観光商工課☏0191・46・2111
・平泉観光協会☏0191・46・2110