


宿場町の時代をしのばせる商家と石の道標

町の歩みを分かりやすく展示する郷土資料館

松尾芭蕉が泊まったと思われる古刹の東陽寺

粕壁宿脇本陣跡を示す標柱|町を走るクレヨンしんちゃんバス

日光道中沿いにある明治初期の商家の蔵

手作りの利根川せんべい|抹茶餡饅頭の麦わらぼうし

新グルメで人気の春日部やきそば
江戸・日本橋から9里2町(約35.6キロ)にあり、1日目はここでの泊まりが多かった。「おくのほそ道」の旅で松尾芭蕉が最初に宿泊したのも粕壁である。
今は東京・浅草と埼玉・大宮から表玄関の春日部駅へは東武電車が運行。東京のベッドタウン的発展を続け、人口23万、県内7番目の都市に発展している。
駅東口の正面の公園橋通りにある情報発信館「ぷらっとかすかべ」に入って、マップをもらいがてら見どころ・食べどころを尋ねた。
まずは学校通りを7~8分歩いて、粕壁小学校に隣接する「郷土資料館」(入館無料)に立ち寄った。石器、土器、貝塚、古墳など古代から宿場、近代、現代までの歴史や風土、文化を親しみ深く分かりやすく展示。春日部の歴史をざっくり予習して、発展の礎になった日光道中のかすかべ大通りを歩いた。
起点の八坂神社は小さな社だが、地元で“天王様”と親しまれ、毎年7月の“春日部夏まつり”はもともとここの祭礼から始まったという由緒ある神社。
道を隔てて目に付く東陽寺は芭蕉が泊まったと推測される寺で、曾良の随行日記の「廿七日夜カスカへニ泊ル江戸ヨリ九里」の一節を刻んだ記念碑があった。
北西へ向かう道は宿場の中心地で、本陣、脇本陣跡の碑や案内板が往時をしのばせる。電柱を取り外したすっきりした通りが往時へ思いをそそる。
沿道に店を構える青のりや味噌風味のバリっと堅い“手焼き煎餅”の「利根川煎餅」や、昔ながらの塩味の小豆餡入り”塩あんびん“を今も手作りする「江戸助」などに明治時代から続く伝統の風味が感じられた。
さらに北西に歩を運んだ東屋田村本店前には大きな石の道しるべ。元は三叉路にあったので、日光、岩槻、江戸の3方向の地名が刻まれている。この辺りは北側の利根川まで蔵が続く大きな商家が並んだ。江戸末期まで続いた問屋場の「永嶋庄兵衛商店」や「浜島家住宅土蔵」にも栄華の時代が垣間見えた。
昼食には新グルメという、焼き麺+あんかけ+青ジソふりかけが共通の“春日部やきそば”を駅前の「ヤマヤ」で食べた。
店の人に聞くと、春日部は桐ダンス、羽子板、麦わら帽子の全国屈指の生産地という。また漫画「クレヨンしんちゃん」の舞台でも有名だという。中でも特産品にちなんだ「青柳」の狭山茶入り餡の饅頭の“麦わらぼうし”は、愛らしくておいしい饅頭である。
・東武スカイツリーライン・東武野田線春日部駅下車
〈問合せ〉
・ぷらっとかすかべ☏048・763・9090
・春日部市観光協会☏048・763・1122