


ガリンコ号と展望塔のオホーツクタワー

流氷のことが分かる氷海展望塔のオホーツクタワー

流氷展望台から間近に見下ろす紋別市街

北の海の幸の水揚げされる紋別港

出塚水産で人気の蒲鉾「珍味ほたて」

喜信堂の人気のクッキー「ガリンコ号」

紋別の歴史、風土が分かる市立博物館

開拓使時代の名残の上藻別駅逓(冬季閉館)
例年1月下旬~3月上旬は流氷の町として知られ、流氷原をドリル状のスクリューで砕き進む世界唯一の流氷砕氷船ガリンコ号は観光客に大いに人気がある。
その季節に2度訪れて氷と雪の町に感銘を受けたが、秋はどんなだろうか?。東京から1日1便の全日空で1時間50分だが、所用を終えた旭川からバスで訪れた。
着いたのはかつて街の玄関口だった名寄線紋別駅跡地のバスターミナル。観光協会で地図をもらって早めに予約のホテルにチェックイン。宿の無料貸し出しの自転車で、流氷観光の核になるガリンコ号のあるガリヤ地区へペダルを踏んだ。
一角には早くから流氷研究に取り組んできた流氷科学センターGiZA&道の駅(0158・23・5400)や夏でもクルージングする世界唯一の流氷砕氷船ガリンコ号、傷を負った野生のアザラシを保護し自然復帰へのトレーニングを行っているとっかりセンター、流氷の海が下からも上からも観察できる氷海展望塔オホーツクタワー(0158・24・8000)など流氷観光のメーン施設が通年見学できる。
タワーへはガリンコステーションからギリシャ神殿風の列柱が400メートル以上連なる防波堤を歩いて5分。海底やクリオネなどの水槽、飛び出す4D映像シアター、総ガラス張りで円筒状のパノラマホールなどでのんびり過ごした。
秋はオホーツクブルーの空、ライトブルーの海、黄色に色づく緑の山並み、目に染みる赤いナナカマドの実。冬と違って色鮮やかな水彩画の世界が広がっていた。
中心街から歩いて10分足らずの流氷展望台(紋別公園)や東洋一を誇った郊外の鴻之舞金山などを展示する入館無料の紋別市立博物館(0158・23・4236)、朝のセリも見られる紋別港などをぶらついた。
港を前にする出塚水産(0158・23・2012)で蒲鉾の製造工程を見たあと、目の前で揚げ立てのあつあつのかまぼこを賞味。貝柱が丸ごと入った「珍味ほたて」など多種多様な蒲鉾を作っていた。
紋別はカニやサケなど海鮮料理が主役だが、地元で評判のレストランあんどう(0158・24・8585)などおいしい洋食レストランもあった。喜信堂(0158・24・3658)ではバターがきいたクッキーの、その名も「ガリンコ号」を購入した。
紋別市街の南方の鴻之舞は明治後期~昭和前期、日本屈指の金を産出した人口1万3000を数えるゴールドラッシュに沸いた町。栄華の面影は閉山とともに廃れて今は人の脳裏と草木や土に埋もれている。
北海道開拓の便宜のために20㌔おきに設置した郵便扱いと宿泊施設の駅逓(えきてい)が現存する上藻別駅逓(0158・26・5110)とともに貴重な歴史遺産である。
はるかな旅路の紋別はその分だけ北国旅情にたっぷり浸れる町である。
〈交通〉・東京(羽田)からオホーツク紋別空港まで全日空で1時間45分(1日1便)
・JR石北本線遠軽駅からバスで1時間20分、旭川駅からはバスで3時間
〈問合せ〉
・紋別観光協会☎0158・24・3900


石畳の参道を飾るように覆う光悦寺の紅葉

紅葉で華やぎを増す真如堂の本堂や三重塔

3000本の楓が真っ赤に燃える永観堂の紅葉

手軽に食べられる松葉の「にしんそば」

京都みやげで人気の西尾の「あんなま」

粒餡ともちもちの皮がおいしい「阿闍梨餅」

重厚な三門の向こうに大伽藍が並ぶ南禅寺

龍安寺鏡容池の水に鮮やかに映える紅葉
昨年、京都で紅葉三昧に浸ったのは11月下旬。山あいの高雄、栂尾、槇尾の「三尾(さんび)の里は盛りを過ぎた」と、連日名所に案内しているタクシーの運転手さんに聞いて、紅葉盛りの寺社をタクシーやバス、徒歩で訪ね歩いた。
最初に向かったのが鷹ヶ峰の美しい竹垣と紅葉が映える光悦寺。次いで丸い悟りの窓と迷いの角窓から紅葉を覗く源光庵に立ち寄った。
翌日は駅前からのバスで白川通りの真如堂前で降り、坂道を上がって、本堂、三重塔、楓の木々などを配する真如堂(真正極楽寺)に参拝。人出がわりあい少なく、境内のあちらこちらに赤色を輝かせる紅葉をしみじみと観賞した。
ここから“もみじの永観堂”と呼ばれる紅葉のメッカの永観堂(禅林寺)へはバスで10分ほど。放生池や庭園など境内のそこここに3000本を数える楓が彩り鮮やか。趣さまざだが、心も燃え立つような華やぎにあふれていた。本尊は小さな立像だが、左後方に振り返って見える“見返り阿弥陀”で名高く、斜面に沿って身をよじるように這う木組みの階段・廊下の臥龍廊にも魅せられた。
その南に隣接するのは京都五山の上位に列する南禅寺。壮大な三門、法堂、方丈の大伽藍が一直線に並び、両側に構えの大きな塔頭が控える広大な境内のあちらこちらで紅葉が秋を謳っていた。それにつけても思いがけなかったのが、石庭で余りにも有名な龍安寺の大きな鏡容池の紅葉の美しさである。
四季の際立つ日本では山野、湖畔、河岸、庭園など紅葉はどこも美しいが、それにしても京都が格別に感じられるのはなぜだろうか。盆地ゆえの昼夜の寒暖差が大きさ、稙栽の際の配置、観賞を意識した手入れ、歴史的背景のせいではないだろうか?
食事は高級な京懐石をはじめ、六盛の「手をけ弁当]など料亭の「京弁当」、「湯豆腐」、家庭の味の「おばんざい」など多種多様。北前船でもたらされた松葉本店の「にしんそば」も京都名物である。
手土産ならおたべの「つぶあん入り生八ッ橋」や本家西尾八ツ橋の「あんなま」、満月の「阿闍梨餅」(あじゃりもち)が土産コーナーではバツグンの売れ行きである。
11月下旬、紅葉盛りの京都に今年もまた思いが募る。
〈交通〉・JR東海道新幹線京都駅下車
〈問合せ〉
・京都市観光協会☎075・752・7070
・京都市交通局(市バス・地下鉄)☎075・863・5200

小麦粉を主原料に牛乳、バター、砂糖などを加えてサクサクとした食感に焼き上げるクッキーやビスケットは、誰にも好まれる手軽な洋菓子の1つ。賞味期限が長いのも手みやげに好評の理由だろう。
クッキーとビスケットのはっきりした違いはなく、イギリスではビスケット、アメリカではクッキーと呼ぶ。日本では区別する目安として、外見が手作り風で糖分、脂肪分の合計が全体の40%以上のものをクッキーとしている。
フランスではビスキュイの一種にサブレーがあるが、鎌倉の豊島屋が明治30年にバターたっぷりのビスケットを「鳩サブレー」と名付けて創製。その後にサブレと名付けるビスケットやクッキーが多数生まれた。小麦生地にナッツやアーモンド、チョコレートなどを混ぜて焼いたものも数多い。
函館の男子修道院の小麦粉、無塩バター、砂糖だけで作るトラピストクッキーはシンプルで昔に変わらぬ製法と味にファンが多く、ロングセラーを続けている。
クッキーやビスケットでクリームなどをはさんだ人気銘菓に東京・小川軒の「レーズンウイッチ」や北海道・六花亭の「マルセイバターサンド」がある。

きのとや (札幌市) ☎011・813・6161
クラーク博士で知られる札幌農学校(現北海道大学)が菓名。ミルクたっぷりの風味とサクッとした食感と口どけのよさで、つい何枚か手がのびる人気のミルククッキーだ。12枚入り540円。

豊島屋(鎌倉市)☎0467・25・0810
鶴岡八幡宮の鳩に因む形と名。早くから作られた洋菓子で、シンプルだがバター風味豊かでサックリとした歯触りが絶妙の味わい。長く人気の全国的にも知られた銘菓である。5枚入り648円。