

鮮やかに染まった楓の紅葉(富士吉田市・富士浅間神社境内にて)
今年も11月になりました。
月日の速さの嘆きは古来、年配者のものでしたが、近年の子ども達にとって塾や習い事、ゲーム遊びなどで忙しい近年の子ども達、塾帰りの小学生らが電車の中で「1週間って早いなあ」とは話し合う声を耳にしました。
確かに時間は誰にも等しく、早い遅いは感じ方しだいですが、時間も気にせず遊んだ昔の子どもの方が幸せだったに違いありません。
さて、長く続いた暑さも収まって、やっと秋の到来と思う間もなく、東京あたりは朝夕、早くも冬の気配です。
居酒屋などにかかる「春夏冬二升五合」の判じ物の木札の如く、まさしく秋ない(商い)状態。「増々(ニ升)、繁盛(升の半分=五合)」といけばよいのですが。
11月は日没のように上旬、中旬、下旬と日毎に1日が足早に感じられる月です。とはいえ実りの味と紅葉と温泉を求めてゆったり旅が似合う季節でもあります。


列車待ちに気軽に入れる足湯「ぽっぽの湯」

温泉神社の御神湯を引いた人気の「滝の湯」

自噴の湯がたっぷりの「鳴子・早稲田桟敷湯」

栗の甘露煮が入った「栗団子」。2個350円
東北新幹線古川駅から、かつてコシヒカリとともに双璧をなしたブランド米のササニシキのふるさと、米どころ仙台平野を北西に走る陸羽東線のディーゼル列車に乗って鳴子温泉に行ってきました。
鳴子こけしで有名ですが、旅館街は駅の南側の傾斜地に大小20軒ほどの宿と連なる飲食店や土産物店が湯の町情緒を漂わせています。
駅を降りると、駅舎の軒下の足湯・ぽっぽの湯からほんのり漂う硫黄の匂いに迎えられます。駅前通りから右にこけし屋が並ぶ坂道を歩いて、さらに急な湯の街通りを上ると、いっそう硫黄の匂いが立ちこめる昔ながらの湯小屋「滝の湯」に着きます。
入湯料はうれしくなるほどの150円。その分地元民や旅行者でいつもいっぱいです。脱衣室から丸見えの湯船は総ヒバ造りで、木の樋から落ちる湯が乳白色を帯びてあふれるかけ流しです。皮膚病や高血圧に効くという酸性含明礬・緑礬-芒硝水素泉です。床板も湯船の木も肌にやさしくゆったり浸かれます。
昭和23年、早大生が掘り当てたモダンな共同浴場の「鳴子・早稲田桟敷湯」も湯量豊富で広々しています。
名物は栗入りのだんごに醤油味の葛あんをとろっとかけた餅処深瀬の「栗団子」は他地では味わえない人気名菓です。
交通は陸羽東線鳴子温泉駅下車、徒歩1~10分
<問合せ>
・鳴子観光・旅館案内センター ☎0229・83・3441
・滝の湯(そば処小花) ☎0229・83・2126
・鳴子・早稲田桟敷湯 ☎0229・83・4751
・餅処深瀬 ☎0229・83・2146


柱状節理の断崖の東尋坊と広がる青い日本海

越前ガニなど海の幸三昧の「やまに水産」の食事

越前タワーからは360度の海と山の絶景が眼下
雪来る前の北陸は海からの魚介の恵みの多い季節です。
富山湾の寒ブリとともに特に関西圏の人が心騒がせるのが11月初めに解禁の「越前ガニ」です。その本場の三国港は3月まで水揚げでひときわ活況を見せます。
行って来たのは昨年11月半ば。柱状節理の巨大な岩柱が材木を束ねて壁のように連なる断崖とそこに打ち砕ける眺めが壮観な、名勝・東尋坊(とうじんぼう)でした。海からの高さが50㍍ほどの岩場には多くの観光客が来ていて、海を背景に記念撮影。
終わるとそそくさと道の両側に20数軒並ぶ海鮮食堂や海産物を目指します。
店頭には越前ガニを主役にいろいろな魚介が並び、越前ガニには足に産地証明の黄色のタグが付いていました。
その1軒の「やまに水産」直営の食堂で越前ガニ料理を賞味。す~っと殻から抜ける色白く繊細なカニ身はしなっとした歯応えの中からほのかな甘みがにじんで舌の上で踊ります。採れたて旬の味はさすがに絶品。うまいの語源があまいにあるということをつくづく感じました。
十数年振りに昇った東尋坊タワーからは、波穏やかな日本海、雄島も近くに見え、カニ料理が堪能できる休暇村越前も緑の松林の中に白亜の建物を見せていました。
福井県では夏ではなくて冬場に「水羊羹」を食べる風習があります。
交通は北陸本線芦原温泉駅から東尋坊まで京福バスで40分。
<問合せ>
・坂井市三国観光協会 ☎0776・82・5515
・やまに水産 ☎0776・81・3420
・東尋坊タワー ☎0776・81・3700
・休暇村越前三国 ☎0776・82・7400


小麦粉と鶏卵を練り込んだ生地にこし餡をたっぷり入れてふっくら焼き上げた人気のカステラ饅頭。醤油やみりんなどの隠し味がきいてほのかなしょっぱさが餡の甘さを引き立てる。皮と小豆餡のバランスがよく、ついもう1つと手が出るほど美味しい、北見を代表する逸品の名物菓子だ。菓名は川を遡上し産卵を果たしてよれよれになった鮭を指すが、役割の全うや子孫繁栄の象徴として名付けられたという。
・1個116円
・北海道北見市北2条西2丁目
・電話0157・24・2816