

秋風と秋の空に似合いのしなやかなコスモス(北海道・釧路川畔)
強すぎるほどの存在感のあった太陽も、日毎に日没を早め、せかされるように1日が過ぎて行きます。
野辺にはその字からいかにも季節を感じさせる「萩」の花。しだれた枝が風にしなやかに揺れるさまにふっと安らぎを覚えます。
田では米、畑ではイモ、山ではキノコ、木にはクリやリンゴが実を結び、海からはサンマ、川にはサケが帰ってくるなど美味の季節。旅先ではこれらの旬に舌が満たされるでしょう。
日の暮れの速さを惜しみつつ、心にも実り多い旅に出かけたいものです。
秋の日の白壁に沿ひ影とゆく 大野林火


ボタンを押すと歌が流れる『津軽海峡冬景色』歌謡碑

国道なのにクルマの通れない唯一?の国道・階段国道

じみ亭の「しじみらーめん定食」。お土産用も多数

太宰が生まれ育った大邸宅の「斜陽館」。今は記念館

5階建ビルをしのぐほどある五所川原の立佞武多
青森から龍飛崎への途中、建設工事中の北海道新幹線が見えました。
半島先端を訪れると、「龍飛」の名をいっそう広めたヒット曲『津軽海峡冬景色』の歌謡碑がありました。ボタンを押すと石川さゆりの歌声で「♪ご覧あれが龍飛岬~」の2番から鳴り出します。碑の前で一緒に歌う人も少なくありません。
歌詞では「龍飛岬(たっぴみさき)」ですが、正式には「龍飛崎(たっぴざき)。ここは連絡船の窓から「かすみ見えるだけ」としか登場しないのに、歌の舞台として多くの観光客を引き寄せる立派なご当地ソングになっているのには驚きました。
高台だけに津軽海峡や周辺の眺めは絶好。湿気の多い季節のせいか、津軽海峡夏景色は、間近の北海道が「かすみ見えるだけ」でした。
歌謡碑から少し歩いて漁港へ下る狭い石段道も龍飛崎の名物的存在。津軽半島の中央部を背骨のように南北に貫くレッキとした国道339号線なのです。
この国道を南下して立ち寄った十三湖(じゅうさんこ)は大粒で味の濃いヤマトシジミの名産地。湖畔の「しじみ亭奈良屋」でラーメン、釜めし、みそ汁、ホワイトソースのチャウダーなどシジミ尽くしの「しじみらーめん定食」をたっぷり賞味しました。じじみ飴、しじみアイスなどいろいろな食べ方があることにも感心しました。
339号を南下すれば、太宰治のふるさと・生家「斜陽館」のある金木町(かなぎ)、巨大な立佞武多(たちねぶた)で知られる五所川原。太宰の『津軽』の文章となぜか吉幾三の『津軽平野』の歌声が浮かんできたのでした。
龍飛崎へは蟹田から三厩まで津軽線普通で40分、灯台まではバスで40分。
<問合せ>・外ヶ浜町三厩支所(龍飛崎)☎0174・37・2001
・しじみ亭奈良屋☎0120・135・443
・太宰治記念館「斜陽館」☎0173・53・2020
・立佞武多の館☎0173・38・3232


城下町の面影が残るしっとりとした二王座歴史の道

道の途中にある無料休憩所の風雅な空間の旧真光寺

映画を記念して生まれた軽快で淡麗な大吟醸「なごり雪」と大分特産のすっきり甘い「カボスはちみつドリンク」

二王座の道に続くレトロな家並みが甦った八町大路
大分からの特急で30分、駅前で巨大な石仏に迎えられ、7~8分も歩くと中心街にそそり立つ岩山の上に臼杵城跡が見えてきます。
城跡からは展望を楽しみ、5分ほど歩いて書院造りの屋敷をもつ城主・稲葉家下屋敷・旧平井家住宅に立ち寄りました。さらに5分ほど歩くと小説家・野上弥生子の生家(造り酒屋)を改築した文学記念館がありました。
白壁や土蔵造りのしっとりとした家並みに歴史がしのばれますが、そのイメージを凝縮したのが、市街地続きにある丘を巡る二王座(におうざ)歴史の道です。白壁、黒板壁などの武家屋敷や寺々が軒を連ねる曲がりくねった細い石畳道は、そのまま時間を遡る歴史の道。三代将軍家光の乳母のお福、春日局(かすがのつぼね)が住んだという屋敷跡もありました。
ここは2002年、近くの津久見町出身の伊勢正三の同名の楽曲をモチーフにした大林宣彦監督の『なごり雪』のロケ地にもなりました。
臼杵へは日豊本線臼杵駅下車後、徒歩で10~20分。
<問合せ>・臼杵市産業観光課☎0972・63・1111


・1棹 2350円
・岩手県岩泉町岩泉下宿37
・電話0194・22・3225