風土47
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鮮烈な赤色に染まる10月上旬の北海道の紅葉(休暇村支笏湖園地にて)
 残暑が長く続いた9月が過ぎて、爽涼の10月になりました。大地は米や豆など五穀の実りの季節、海は鮭、鯖、秋刀魚など大漁の季節です。これに合わせて豊作・豊漁に感謝し、翌年の恵みを願う秋祭りが各地の大神宮から鎮守社まで催されます。

 北国から紅葉前線が舞い降り、日本列島の山川草木は赤、黄、橙などさまざまにあでやかに染め変わります。旅にスポーツに山歩きに心地よい時でもあります。

 春の花見と対をなすように日本人は秋には紅葉狩りに出かけます。桜の浮き立つ気分とは違って、あでやかさの中にもどこかしみじみと見入る感じがあります。

 北海道や山岳地帯では10月上旬から中旬、東北地方では下旬から。京都あたりでは11月中旬が見頃でしょう。

■寝台特急「サンライズ出雲」で山陰への旅(鳥取県)


山陽・伯備線を経由する寝台特急「サンライズ出雲」(写真:JR西日本)

車両の外も内も妖怪画いっぱいの「鬼太郎列車」(写真:JR西日本)
 秋のそよ風が吹き出すとなんとなく夜行列車に乗って旅に出たくなります。そこで先月、寝台特急「サンライズ出雲」で米子、安来、松江へ行ってきました。

 車体色はベージュをベースにしてあしらった赤とゴールド。サンライズの名のように朝明けのイメージで、客室は住宅メーカーとタイアップした温もりある木目調で、利用したシングルはゆとりがあってなかなか快適でした。

 車両は岡山駅で出雲方面と四国方面(サンライズ瀬戸として後部に連結)に分かれ、伯備線経由で米子に停車。ここで名物駅弁の「米吾の吾左衛門鮓・鯖」(5貫・980円)を朝食にして、水木しげる氏画のイラスト列車「鬼太郎列車」で境港に向かいました。


「鬼太郎駅」の愛称のある灯台風のモニュメントをのせた終点・境港駅

多くの妖怪のブロンズ像が並ぶ水木しげるロードをそぞろ歩く観光客
 境港はベニズワイガニなど全国有数の漁獲水揚げを誇る港町ですが、多くの地方都市のように人口減少、経済不振などで停滞傾向にありました。

 そこで17〜18年前に町興しのために同市出身の漫画家・水木しげる氏の妖怪キャラクター像で町興しを始めました、徐々に知られてはいましたが、なんといっても平成22年、水木夫人自伝の『ゲゲゲの女房』がNHK朝のテレビ小説として放映以来、観光客が激増し、年間350万人を超すという活気のある町になりました。

 駅前から本町アーケードまでの800㍍の水木しげるロードには、「目玉おやじ」「ねずみ男」「砂かけばばあ」など妖怪ブロンズ像が139体。水木氏自身、水木夫妻のブロンズ像、水木しげる記念館、妖怪神社の他、饅頭、人形など鬼太郎グッズもたくさん売られていました。


鯖とすし飯と昆布が美味しくなじみ合う駅弁「吾左衛門鮓・鯖」(980円)

カニと魚介、野菜、酢飯を紙に包んで蒸す「新かにめし」(海鮮レストランかにじまん・1300円=全店同一料金)
 水揚げ日本一のベニズワイガニを丸ごと1杯使った「境港新かにめし」を名物料理として市内の6つの食事処が足並み揃えて今年3月に売り出しています。カニ身を自分でほぐしてご飯に混ぜ足り、載せたり、思い思いに食べる楽しさと美味しさは格別なものがあります。

 なお、これらの町とゲゲゲの女房のふるさと安来、開府400年博覧会開催中の松江エリアでは、鳥取・島根両県、関係4市、JR西日本共同で、特別企画や特典もある「山陰・なかうみキャンペーン~ほっと一息 あなたの旅 山陰から~」(10月1日~12月31日)を開催中です。ここには美味といで湯ともてなしに心温もる旅がありました。

〈問合せ〉
・西日本旅客鉄道広報部 ☎06‐6375‐8886/東京広報室 ☎03‐3212‐2606
・JR西日本米子支社営業課(観光開発室) ☎0859‐32‐8056
・境港市観光協会 ☎0859‐47‐3880
・境港ベニズワイガニ料理推進協議会 ☎080‐6347‐3710/海鮮レストラン・かにじまん ☎0859‐42‐1520
中尾隆之
中尾 隆之(旅行作家)高校教師、出版社を経てフリーランスライターに。月に10日は取材旅行の現場主義で、町並み、鉄道、温泉、味覚等の紀行コラム、エッセイ、ガイド文を執筆。とくにお菓子好きで、新聞、雑誌にコラム連載のほか、『全国和菓子風土記』の著書もある。2007年8月に「全国土産銘菓選手権初代TVチャンピオン」(テレビ東京系)に。