


「田毎の月」で知られる長野・姨捨の稲の収穫風景
1日は立春から数えて210日目に当たる雑節の「二百十日」。稲の開花の頃で、しばしば台風が来襲するので農事にとっては厄日の1つにされています。風を鎮めるための風祭を行う地もあります。
1〜3日に行われる、踊りと歌に魅せられる「富山・八尾おわら風の盆」もそんな豊作への感謝と喜びを込めた気品と哀調を漂わせる年中行事です。
畑では栗、米、小豆など、海では鮭、イカ、サンマなど実りと収穫の始まる季節の日本列島の9月。
高く青く澄み渡った空の下、黄金の穂波、コスモス、彼岸花が揺れる野辺、銀鱗おどる海辺の風景に日本の豊かさが感じられる清々しい季節です。


中心街には江戸時代風の和風建築が町並みを作る

小布施の町おこしのシンボル的存在の北斎館


道端で見かけた栗と人気菓子の「栗かの子」(竹風堂)
そんな歴史を踏まえて栗菓子を製造販売し、江戸風の町並みづくりを進め、地元の豪商、村役人、文化人であった高井鴻山(こうざん)を顕彰、氏が親交をもってこの地に招いて面倒をみた当代きっての浮世絵師・葛飾北斎の作品を集めた北斎館を開設。みるみる観光地としてブレークしました。
国道403号線を中心に和風の店構えの栗菓子店や造り酒屋が集まり、あかり博物館をはじめ小布施ミュージアム・中島千波、現代中国など10か所ものミュージアム、北斎の天井画や一茶ゆかりの岩松院など見ものを整えました。
花咲く個人宅のオープンガーデン、色づくリンゴ・ブドウ園、栗林と妙高・黒姫など美しい北信州五岳の風光に溶け込むように町全体が息づいています。
食事はそばや栗おこわ、みやげは栗かのこなど多種ある栗菓子。採りたてのリンゴやブドウ、ナシ、そして野菜なども特産品です。
長野駅から長野電鉄で40分、小布施下車。上信越自動車道小布施PAスマートICから5分。
〈問合せ〉
・小布施文化観光協会 ☎026-247-3111


山麓の斜面に50戸集まる“かやぶきの里”美山北地区

集落には茅葺民家を使った民宿もある

宿泊と食事処の河鹿荘で昼食にした鯖そば

美山牛乳で作られたおいしいサブレやプリン
現在は合併して南丹市になりましたが、美しくのどかな山里の風景は変わりなく、美山町内には茅葺民家が250戸ほどが残っています。中でも北地区は50戸がかたまってみごとな茅葺の里をなしています。
山麓の傾斜地の坂道沿いに立ち並ぶ茅葺屋根、道端の地蔵さんや赤い円筒ポストなどの光景にふっと心が和み、なにか「日本むかし話」の世界に紛れ入ったような懐かしさを覚えました。
この山村集落が平成5年(1993)に国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、それを契機に「北村かやぶきの里保存会」が組織されました。
公開している1軒の囲炉裏端での話では、この辺りの主な暮らしは山仕事で、キビやソバ、米の畑作もしているとのこと。今は観光客の姿が絶えず、一部の民家では民宿やカフェ、パン屋などを始めていました。
集落を目の前に(有)かやぶきの里が運営する食堂や土産物屋、少し車を走らすと美山自然文化村「河鹿荘」という宿泊施設もあり、名物の鯖そば、鯖寿司なども食べられました。
かやぶきの里への入口に当たる「道の駅ふれあい広場」には農林産物販売所のふらっとや美山牛乳工房などがあり、ふるさとが香る手作りの野菜や惣菜、菓子も売っていました。
今は黄金に色づく稲穂やコスモスが揺れ、やがて紅葉へと秋の深まりにつれていっそう日本の原風景の趣を深めることでしょう。
京都から国道162号線で約60㌔、車で1時間40分。
〈問合せ〉・美山町観光協会 ☎0771-75-1906