風土47
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成田山新勝寺の寒気の境内で咲いていた梅の花

流氷のオホーツク海を突き進む流氷観光砕氷船
 正月気分がようやく抜けたと思ったら、早くも如月・2月…すぐに節分。暦の上では春立つ季節ですが、日本列島、とりわけ今年の冬の日本海沿海地域は大雪に見舞われ、これからが冬本番というところでしょう。

 新年とは言っても淡々とした時間の流れの続きに過ぎませんが、天体の動きに即して暦を改めることでリフレッシュさせたのは、古今東西を問わず人間の賢い知恵ではなかったでしょうか。

 しかし如月(きさらぎ)の呼び名は“生更き”(きさらぎ)が語源のように草木が更生する季節。寒気の中でも梅は蕾を膨らませ、木々も密かに芽吹きへ蠢き出しています。特に山野に緑が見当たらないのに梅が花開き、ふくいくとした香りを放って、目に鼻に春を運んでくれます。

 一方、オホーツク海では流氷の季節です。埋め尽くされる氷の下でも実は春への胎動が始まっているとのこと。2月という短いステージの上でも日本列島には様々な春があって、旅の楽しみももよりどりみどりです。

東京発の新幹線で着いた新青森駅は雪の中(青森県)


殺風景な中に忽然と出現したモダンな新青森駅

雪景色を欺くように赤いねぶたの家ラ・ワッセ

青森駅前のアウガ地下にある大きな新鮮市場
 青森県民の悲願だった東北新幹線の新青森駅が開業したのは昨年12月4日。「特急はやて」で3時間20分で着いた新青森駅は雪の中でした。駅舎は三内丸山遺産に因んで“縄文から未来へ”をデザインコンセプトに外壁に石やガラスを多用したレトロ&モダン。特産品がいっぱいのみやげ物屋や飲食店など多くのショップが入った商業施設がありますが、駅周辺はがらんとして殺風景でした。

 ひと駅隣の青森駅へは列車で6分ですが、奥羽本線の列車の本数は通勤・通学時間帯はともかく、旅行者が利用する日中は多くないので、けっこう遠くなった感じです。

 その青森駅近くに文化観光交流施設「ねぶたの家ラ・ワッセ」が1月5日にオープンしました。大型ねぶた5台のほか映像やパネルでねぶたの魅力をあでやかに展示してあり、なかなかの見応えです。入場料600円。

 駅前の近代的な複合施設・アウガ地下1階には魚介、野菜、果物店がいっぱいの市場や食堂があります。新青森に着いたらぜひ立ち寄ってみたい場所です。

<問合せ>
・ねぶたの家 ラ・ワッセ☎017-752-1311
 青森市安方1-1-1/9時~19時
房総半島は海青くひと足早い花の春(千葉県)

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色とりどりの花が咲き出す内房の花畑

鋸山山頂からの金谷港方面の眺望

熟成バウム・のこぎり山(3つ山 1,155円)
 雪と寒気の日本海側とは打って変わって、黒潮寄せる房総半島は気候温暖。つい先日、神奈川県横須賀市・九里浜から東京湾フェリーで金谷港に行ってきましたが、港や館山周辺では菜の花やポピーが咲き出し、春の色に染まり始めていました。

 金谷港から10分ほど歩いて、目の前の鋸山(のこぎりやま)に架かるロープウェーに乗って頂上に立ちました。眼下に港を囲んだ浜金谷の町が見え、東京湾の向こうに三浦半島が間近でした。

 山上にはその名もビッグな日本寺や岩肌に彫られた百尺観音、空に突き出した岩場の地獄のぞき、晴天には富士山、秩父連山なども見える十州一覧台などスケールとスリルがいっぱいです。

 港に戻って観光複合施設の「ザ・フィッシュ」でシーフードカレーでランチ。世界食品コンクールで連続金賞受賞の見波亭の“熟成バウム・のこぎり山”をおみやげに買いました。芳醇な甘みがふわっ~と口の中に春を運んでくれるようでした。

<問合せ>
・ザ・フィッシュ☎0439-69-2161
 千葉県富津市金谷2288/9時~18時/無休
中尾隆之
中尾 隆之(旅行作家)高校教師、出版社を経てフリーランスライターに。月に10日は取材旅行の現場主義で、町並み、鉄道、温泉、味覚等の紀行コラム、エッセイ、ガイド文を執筆。とくにお菓子好きで、新聞、雑誌にコラム連載のほか、『全国和菓子風土記』の著書もある。2007年8月に「全国土産銘菓選手権初代TVチャンピオン」(テレビ東京系)に。