風土47
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青森駅前周辺
新幹線青森駅開業でもゆるぎない存在感を示す青森駅前通り
 今年も残すところ1ヵ月。月並みな言い方ですが、月日の過ぎゆく速さにはいつもながら驚くばかりです。

 年賀状の準備などと思っているうちに、知人友人、その家族からの喪中の知らせのハガキが落ち葉のように悲しく寂しく1枚1枚届きます。

 12月4日(月)、長い悲願だった青森市まで東北新幹線が延伸。青森の町は祝賀ムードが大いに湧き上がることでしょう。 年末年始を前に温泉や名物鍋など小さな旅に心誘われる月でもあります。

寒気身にしむ冬こそ、会津若松へ

七日町通り
古い家並みに磨きをかけて町並みを整備した七日町通り
老舗・満田屋
土蔵造りの店構えの味噌醸造の老舗・満田屋
味噌田楽
味噌田楽
客の目の前で炭火で丁寧に焼かれる味噌田楽
 福島県中西部に位置する会津若松は盆地の町。江戸時代は会津藩28万石の城下町として栄えましたが、ご存じ戊辰(ぼしん)戦争で落城、街も人も多くを失いますが、人の心には徹底抗戦した会津魂が今なお強く残っています。

 復原ながらシンボルの鶴ヶ城天守閣は現在、修復工事で見られませんが、その城下町時代、最も賑わった七日町通りでは歴史をしのばせる老舗商家や白壁土蔵などを磨き直し、ぶらり歩きが楽しめる道筋になっております。

 中核的存在をなすのが、かつて海産物問屋の建物を生かした食事処・宿の渋川問屋(しぶかわどんや)や江戸時代からの味噌醸造の満田屋など観光客の出入りが多い商家です。

 なかでも多様な味噌を製造販売する満田屋(みつたや)には自家製味噌を生かした田楽が食べられる一室があり、炭火でじっくり焼いたりあぶったりしたコンニャク、豆腐生揚げ、餅、しんごろ餅(半搗き)を柚子味噌や山椒味噌など多様な味噌で頬張る人がたくさんいました。

 炭火のふっくらさ、味噌の香ばしさに舌がほっくり、心が懐かしさに満たされました。1串各220円。これらを含んだ5種類の田楽コース1150円もあります。

〈問合せ〉
・満田屋 ☎0242-27-1345
 店舗9時~18時(田楽は10時~17時)、水曜休(12月は無休)


熊本から九州横断特急で大分まで

“阿蘇山”
粉をまぶしたように雪にすっぽり覆われた阿蘇山
殿町武家屋敷通り
城下町の面影色濃い竹田・殿町武家屋敷通り
銘菓「荒城の月」
滝廉太郎に因んだ銘菓「荒城の月」
 熊本と大分を結ぶルートとして古くから阿蘇の外輪山を越えて五岳の北を横切る豊後街道がひらかれ、参勤交代の大名行列が往来しました。今の国道57号線は概ねそれに沿っています。

 この道筋に添うように走るのがJR豊肥(ほうひ)本線。なんだか匂ってくるような名称ですが、この間を名前もズバリ、ディーゼル特急『九州横断特急』が1日4往復しています。2年前の暮れ近くにこの横断特急に乗って大分まで車窓の旅をしたことがあります。それは雄大な阿蘇五岳や外輪山の山岳風景堪能の旅でした。

 珍しくすっぽり雪に覆われた阿蘇山のいつもと違った凛としたたたずまいが印象的で、『荒城の月』の歌が流れる豊後竹田駅で下車して歩いた旧城下町は作曲家・滝廉太郎が少年時代を過ごした、武家屋敷が今も残る町です。そそり立つ石垣だけ残る荒れ果てた岡城跡の印象が廉太郎の曲想の素になったそうです。
阿蘇山とは打って変って小春日和ののどかな盆地の町でした。

<問合せ>
・竹田市商工観光課 ☎0974-63-1111

中尾隆之
中尾 隆之(旅行作家)高校教師、出版社を経てフリーランスライターに。月に10日は取材旅行の現場主義で、町並み、鉄道、温泉、味覚等の紀行コラム、エッセイ、ガイド文を執筆。とくにお菓子好きで、新聞、雑誌にコラム連載のほか、『全国和菓子風土記』の著書もある。2007年8月に「全国土産銘菓選手権初代TVチャンピオン」(テレビ東京系)に。