風土47
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丸うちわ
房総南部の伝統工芸品。自生の女竹(細い篠竹)を細く割いた骨と一体化して布や紙を貼ったった丸うちわ。しなやかで手に疲れないのが特徴
花火
 全国的に猛暑続きの今年の夏。局地的な集中豪雨が発生し、各地で甚大な被害を及ぼしています。地球の天候が異変気味なのは確かなようです。

 さて夏の宵の大きな楽しみの花火大会が各地華々しく開催されています。特に8月は連日連夜催されます。下駄履き、浴衣掛けで、手にうちわなど典型的な日本の夏の風物詩です。花火観賞のツアーもたくさんあります。

 日本観光協会のサイトなどで日程を確認、花火を楽しみましょう。

鶴岡で味わった木綿の手触りの藤沢文学と絹の喉ごしの名物「麦切り」の味

藤沢周平記念館
硝子張りの明るくさわやかな印象の心地よい建物です
麦切り
庄内地方の昔からの名物の麦切りはうどんとそうめんの間ほどの太さ。手前のややグレーは生そばです
寝覚屋半兵エ
風変わりな店名で地元で人気絶大。いつもお客さんが絶えません
 庄内藩14万石の城下町・鶴岡市は直木賞作家・藤沢周平氏の故郷です。そこをモデルとした“海坂藩”(うなさかはん)を舞台に多くの作品を残しています。それらにゆかりの場所が市内のそこここにありますが、今年4月、氏を顕彰した「藤沢周平記念館」が城跡の鶴岡公園にオープンしました。氏の作風や人柄を思わせるすがすがしい佇まいの中に、文学風景や自筆原稿、書斎などを展示。下級武士や江戸市井に生きた名もない人々を主人公にした作者の木綿のような手触りとぬくもりの感覚が館内に息づいて好ましい時間に浸されました。

 見学後、郊外に案内されて味わった庄内名物の「麦切り」にもすっかり魅了されました。小麦粉を煉ってのばした生地でそうめんより太く、うどんより細く包丁で切った純白の麺で、喉ごしつるつる、舌に滑らか。ほんのりもちっとした食感と秘伝の甘辛い絶妙なタレがからんでいくつでもいける飽きない美味しさです。

 眠気を催した人が美味しさに目を覚ましたほどだったことから屋号を採った人気店の「寝覚屋半兵エ」は創業120余年の麦切り一筋の老舗です。

 麦切り半枚(2人用)1500円、1枚(4~5人用)3000円。持ち帰りのお土産用もあります。半枚1500円(ケース入り・タレ・薬味付き)

・鶴岡市立藤沢周平記念館
 山形県鶴岡市馬場町4-6 ☎0235-29-1880
 9:00~16:30、月曜・年末年始休。300円

・寝覚屋半兵エ(ねざめやはんべい)
 山形県鶴岡市枇杷川原74 ☎0235-33-2257
 10:00~18:00、水曜・第2火曜休


新幹線間近の青森で海を眺めつつ「帆立釜めし」

青森港近辺
青森ベイブリッジをくぐると港の風景がひらけます。木の人路橋右に三角のアスパム、左に八甲田丸
むつ湾産帆立釜めし
味が染みたご飯やおかずが美味しい。彩りも華やかで量もたっぷり
 12月4日の東北新幹線延伸開業に向けての工事が急ピッチで続く青森市。終点「新青森駅」の駅舎は工事中ですが、少し距離のある現青森駅前周辺はどうなるのでしょうか。そんなことを思いつつ、八戸駅から半年後にはなくなる特急「白鳥」に乗って青森まで行ってきました。

 駅前通りの新鮮市場や図書館が入った複合商業施設のアウガ、青森ベイブリッジの先の津軽海峡を航行したメモリアルシップ八甲田丸、「津軽海峡冬景色」歌碑、三角の建物の観光物産館アスパムなど見どころもほどよくあります。それに加えて来年1月にオープン予定の「ねぶたの家ワ・ラッセ」が工事中でした。

 この駅で買ったのが駅弁の「むつ湾産帆立釜めし」です。醤油味の炊き込みの茶飯の上にふっくら甘辛く煮込んだたくさんのホタテや錦糸卵、姫竹などこぼれんばかりに載っています。

 終点なので列車の中でなかったけれど、海を眺めて潮風に吹かれながら食べると、それぞれのうま味が舌にしっかり伝わってきました。900円。

・ウェルネス伯養軒青森支店
 青森市安方1-2-13 ☎017-723-1894

中尾隆之
中尾 隆之(旅行作家)高校教師、出版社を経てフリーランスライターに。月に10日は取材旅行の現場主義で、町並み、鉄道、温泉、味覚等の紀行コラム、エッセイ、ガイド文を執筆。とくにお菓子好きで、新聞、雑誌にコラム連載のほか、『全国和菓子風土記』の著書もある。2007年8月に「全国土産銘菓選手権初代TVチャンピオン」(テレビ東京系)に。