風土47
今月のコラム・見出し 今月のコラム・2009年1月 今月のコラム・2009年2月 今月のコラム・2009年3月 今月のコラム・2009年4月 今月のコラム・2009年5月 今月のコラム・2009年6月 今月のコラム・2009年7月 今月のコラム・2009年8月 今月のコラム・2009年9月 今月のコラム・2009年10月 今月のコラム・2009年11月 今月のコラム・2009年12月 今月のコラム・2010年1月

熱海梅園
熱海梅園の梅の盛りは2月中旬以降から
河津川濃いピンクの花が菜の花と河津川の青に映える
 早いもので今年もすでに2月。今月は“大の月”より3日も短いから、いっそうそんな感じがするでしょう。

 暦の上では3日は節分、4日は立春。熱海など各地の梅園では百花に先駆けて梅が、伊豆では河津桜が、大島では椿が先取りするように春への装いをまといます。

 なのに札幌など北国・雪国は雪の祭典、オホーツク海は流氷の世界。日本列島という細長いテーブルには冬から春までの四季の盛り合わせが同時に載るという贅沢な季節でもあるのです。

 よりどりみどりの楽しみを求めて旅をしてみました。

雪知らずの三陸海岸南部・気仙沼の冬

気仙沼港1月なのに太平洋側の港は春のような明るさ
海の市黒潮と親潮の魚が並ぶ気仙沼海の市。真ん中あたりにあるのが"モウカの星" 
フカヒレラーメンこれがフカヒレラーメン
 日本海側はもちろん、山陽、四国、九州まで雪に見舞われた1月半ば。テレビの天気予報をにらんで、雪のなさそうな北国を探して旅に出ました。

 そこは太平洋に面したリアス式の三陸海岸南部の気仙沼。「♪み~なと、みやこ、か~まいし、け~せん~ぬ~ま」と唄う森進一の港町ブルースでおなじみのカツオ、マグロ、サンマ、サメなどの漁獲を誇る港町です。かつては遠洋漁業の一大基地。魚市場横の海鮮市場海の市には肌がツヤツヤのメバチやカジキマグロをはじめマダラ、毛ガニ、タコなどいろんな魚介が並んでいました。

 目を引いたのは“モウカ(毛鹿)の星”。???と思って聞くとサメの心臓だそうで、刺身が絶品とのこと。食べ損ねましたが、臭みがほとんどなくレバ刺しのような感じで、美味しいそうです。

 気仙沼ではなんといってもサメのヒレ。中華料理の高級食材のフカヒレの世界有数の生産地で、台湾、香港などへたくさん輸出しています。フカヒレ鮨が名物ですが、値が張りそうなので手軽にと思って口にしたフカヒレラーメンがなんと1800円。味は値段への期待がちょっと大きすぎたかなという感じでした。


・気仙沼観光コンベンション協会☎0226-22-4560
・海鮮市場海の市☎0226-24-5755


寒気と雪厳しい日本海にひらけた港町酒田

山居倉庫酒田のシンボルー110年を超す歴史を持つ米穀倉庫。一部は資料館とレストラン・土産店に
 最上川の河口、日本海に臨む酒田は、江戸時代、西廻り航路の要港、北前船の寄港地として、最上川流域の紅花や庄内平野の米が積み出して大いに栄えた港町です。

 そのシンボルの一つが明治26年(1893)に酒田米穀取引所付属施設の山居倉庫。倉庫として現役ですが、三角屋根がノコギリ歯状に11棟も連なる土蔵造りと西日を遮るために植えられたケヤキ並木は、実利と美観を兼ね備えた優れた建物です。新緑の頃とともに、黒板壁と雪のコントラストが鮮烈な冬景色も寒さ以上に心に染みました。

 一部を使ったレストラン&みやげ店「幸の館」では魚と米の美味しい食事が味わえます。

 そういえば、酒田は昨年ヒットした映画『おくりびと』のロケ地。
 山居倉庫も自動車からの風景に出てきました。


・山居倉庫☎0234-23-7470
・酒田夢の倶楽☎0234-24-2233

中尾隆之
中尾 隆之(旅行作家)高校教師、出版社を経てフリーランスライターに。月に10日は取材旅行の現場主義で、町並み、鉄道、温泉、味覚等の紀行コラム、エッセイ、ガイド文を執筆。とくにお菓子好きで、新聞、雑誌にコラム連載のほか、『全国和菓子風土記』の著書もある。2007年8月に「全国土産銘菓選手権初代TVチャンピオン」(テレビ東京系)に。