


花の少ない冬に咲く貴重な花のツワブキ(高知・牧野植物園にて)
ところが年末の1週間ほどのぞけば、乗り物や宿はすいていて、また料金も安めで実は狙い目。12月半ば過ぎ、新年を控えて部屋もリニューアル、常連さんを迎えるにあたって試作中の豪華なご馳走をいただいたりすることもあります。冬枯れの中で明るい黄色を放つツワブキの花に慰められます。




関ヶ原の合戦後、細川忠興が築城、あとに小笠原礼法で知られる小笠原氏が治めた城下町、長崎街道の宿駅としても賑わった歴史の足跡も残る、思いのほか懐深い町でした。
街中に掛かる「清張生誕100年」の垂れ幕が語るように小倉は社会派推理から古代史・現代史まで幅広い著作をものした松本清張が生まれ育った町。作品から蔵書、暮らしぶりを展示する記念館も親しみ深く見てきました。そういえば秋に訪れた弘前では今年は「太宰治生誕100年」。生まれた場所も境遇も作風も、実に対象的なこの2人が同じ年齢だったとは思いもよらないことでした。
清張が子どもの頃住んで、よく時間をつぶした本屋があった旦過橋のそばの庶民の台所の旦過市場では、小笠原初代城主忠真が好んだという小倉名物の「ぬかみそ炊き」を食べました。サバやイワシを丹精を込めた各家・各店秘伝のぬかみそ床で炊きこんだ味は、深い味わいながらけっしてしょっぱくなく、ふわりとまろやかなでくせがありません。清張さんも、明治後期、軍医として3年赴任した森鷗外さんも食べたはずです。地方発送もしています。
工業都市だけのイメージがぬぐい去れ、人には会ってみなくちゃ、街は歩いてみなくちゃ……旅がらすの改めての感慨でした。
・北九州市観光協会☎093‐541‐4189・松本清張記念館☎093‐582‐2761
・旦過市場「ふじた」(ぬかみそ炊き)☎093‐551‐1263



その1つが神戸で見つけた御影高杉のドイツ菓子「シュトレーン」。ラム酒に漬けたレーズンやオレンジなどドライフルーツを小麦粉生地に練り込んで焼き上げ、粉糖をまぶしたパン風のケーキで、生まれたばかりのキリストがおくるみに包まれた形を表わしているとか。堅い生地の飾りの少ない質朴なケーキはいかにもドイツです。
イタリアではドーム型菓子パンの「パネトーネ」、フランスでは木目などで木を表現したロールケーキの「ビュッシュ・ド・ノエル」。
テーマパークの志摩スペインには、スペインの人が教会の結婚式やクリスマスなどに好んで食べる「ポルボロン」がありました。噛まなくても口の中でほろっと崩れる柔らかなクッキーで、食べながら「ポルボロン」と3回唱えると幸せになれると言います。シナモン、チョコ、キャラメル、オレンジなど5種類があります。
・御影高杉(神戸)☎078‐811‐1234・菓子工房ポルボロン(志摩スペイン村)☎0120‐036781