風土47
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磯子風月堂の月見だんご
10月3日の十五夜と前日だけの販売という15個組の横浜・磯子風月堂の月見だんご
 今年も残すところ4分の1。10月3日は中秋の名月。すなわち十五夜です。月日の速さに加えて、深まりゆく秋の陽はつるべ落しで、地平線、水平線にあれよあれよと沈んでゆきます。

 そして畑や山野は実りの季節。北国から始まる米、蕎麦、芋、栗、柿、豆の収穫期。少し遅れて紅葉前線が追いかけています。海からの秋刀魚、鮭、牡蠣、蟹など旬の魚介も食卓を賑わせます。

 風も空も月も澄みきって、10月は心も満ち、腹も満ちる旅には最適の季節です。

10月から「うまさぎっしり新潟」キャンペーン

うまさぎっしり新潟新潟デスティネーションキャンペーン(10.1~12.31)・総合ガイドブックより
 JRグループが県など地域と連携して観光振興を図るデスティネーションキャンペーンが、10月~12月の3カ月、新潟・庄内(山形県)エリアで展開中です。「うまさぎっしり新潟」のキャッチフレーズ通り、新潟の秋から冬はコシヒカリをはじめ南蛮エビ、ノドグロ、ヤリイカ、寒ブリ、へギそば、にいがた和牛など美味の宝庫。煎餅、あられ、笹団子など米菓も目白押しです。

 米・酒・魚うまし、雪も湯もよし、美人あり。各地の催しやSLなどイベント列車も走る秋から冬への新潟・庄内。出かけてみませんか?

・問合せ=新潟県観光協会☎025・283・1188

目に心に染みる秋の田沢湖・乳頭温泉郷

田沢湖湖畔瑠璃色の湖水と山の緑、田圃の黄金色。田沢湖湖畔の景色は秋田の”秋”の大地が描いた鮮やか構図(昨年10月1日撮影)
乳頭温泉・黒湯乳頭7湯の中でも最奥にある黒湯の混浴露天風呂。10月下旬の紅葉期は秘湯イメージが最高潮。冬季閉鎖
 秋田新幹線「こまち」の田沢湖駅からバスで15分ほど。湖畔に立つと目の前に水深日本一、透明度全国3指に入る瑠璃色の田沢湖がひらけます。

 ここから北東へバスで40分ほど、ブナ林の中に鶴の湯、乳頭(休暇村)、妙乃湯、大釜、蟹場、孫六、黒湯の一軒宿が点々と湯けむり上げる乳頭温泉郷があります。ナトリウム、硫黄、ラジウムなど10種以上の泉質を数える個性のある人気の秘湯です。1~2日かけて湯めぐりする人にも多く出会いました。宿泊者は7湯に入れる「湯めぐり帖」(1500円・1年有効)が購入できます。

 豊かな自然と温泉と山の幸に満たされる、ここはひそかにお勧めしたい名湯です。


・問合せ=乳頭温泉郷組合(休暇村内)
 ☎0187・46・2244

平家落人伝説の里・湯西川温泉

砦料理囲炉裏で焼きながら落人の思いも味わう砦料理(上屋敷・平の高房)
 椎葉、五家荘、祖谷、五箇山、湯西川などなど、道はるか、山深い里には決まって平家落人の伝説があります。それらの里へは道なお遠く、山懐なお深く、伝わる言葉や風習、遺物など歴史ロマンに浸されます。

 そんな中で東京からはわりあい手近な湯西川温泉(栃木県)に行ってきました。800年余前、壇ノ浦の合戦に敗れ、源氏の追っ手から逃れた平家一族が住み着いたといわれる湯けむり上がる山里です。

 ゆかりの鎧兜や太刀、絵巻などを展示する落人民俗資料館や茅葺の建物に時代を再現した平家の里をはじめ、当主が平家直系25世と名乗る宿、揚羽蝶の平家の紋入りの平家最中もありました。

 泊まった宿もこの地に入った人物の名を付けた木造りの宿「上屋敷・平の高房」。大広間の囲炉裏端で味わう野趣に富んだ“砦料理”に落人気分がたっぷり。温泉と静けさが心身にしみいる宿でした。

・問合せ=湯西川・川俣・奥鬼怒温泉観光協会 ☎0288・97.1126

・問合せ=上屋敷・平の高房 ☎0288・98・0336

中尾隆之
中尾 隆之(旅行作家)高校教師、出版社を経てフリーランスライターに。月に10日は取材旅行の現場主義で、町並み、鉄道、温泉、味覚等の紀行コラム、エッセイ、ガイド文を執筆。とくにお菓子好きで、新聞、雑誌にコラム連載のほか、『全国和菓子風土記』の著書もある。2007年8月に「全国土産銘菓選手権初代TVチャンピオン」(テレビ東京系)に。