風土47
旅行ライター中元千恵子の「ある日のひとり歩き」
■アート作品で彩られる瀬戸内海の島々
このコラムでは、フリーのライターとして旅行やインタビューの仕事をしていく中で、おもしろいなと思ったことを不定期でゆるーくお伝えしていきたいと思います。

まずは、「今月の特集」で登場した“オリーブの郷そうめん”の故郷、小豆島はこんなとこ、というご紹介です。

高松港から土庄港(とのしょうこう)までフェリーで約1時間。港ではオリーブの葉で王冠をかたどったモニュメントが出迎えてくれます。

島の中央部海沿いには「小豆島オリーブ公園」が広がります。丘からは瀬戸内海の風景が望めます。

内陸に入った中山地区には、800枚を超える大小の田んぼが連なった棚田が広がっています。
左側に何やら気になる建物が…。地元産の約5000本の竹で作られたアート作品「小豆島の光」です。

私が訪れたのは2013年。瀬戸内海の島々を舞台に3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭2013」の会期中。
内部も見られました。巨大な虫籠に入った気分ですが、なぜかとても落ち着きます。木漏れ日のゆらぎ、やわらかく吹く風、木々の葉ずれの音や小川のせせらぎが響き、五感で島の自然を感じられます。

千枚田を見下ろす高台に食堂が一軒あって、にぎわっていました。

島には、古い町並みも残っています。

小豆島の名産である醤油を使ったアート作品もありました。

1つ1つはこんな感じ。濃さの違う醤油を小さなボトルに詰めてグラデーションを創り出しています。気の遠くなるような作業ですね。

女木島にも足を延ばしてみました。

段々畑に創られた「段々の風」。島の風景とアートがみごとにマッチしていますね。

お隣の男木島港にはこんなおしゃれな作品「男木島の魂」があります。
アートというと難しいイメージがあったのですが、「何だかいいな」と感じればいいのだと教えられた気がしました。
常設されているアート作品もありますので、ご興味のある方はぜひ旅してみてください。
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、 『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。(朝日新聞デジタル連載記事