魚の町から届く万能調味料|漁村女性グループめばる|ごまだし


「ごまだし」は大分県佐伯市の海辺で古くから作られてきた家庭の味。長年、母から子へ、子から孫へと受け継がれてきた。
焼いた魚の身を、たっぷりのゴマや醤油とすり合わせたもので、魚のうま味とゴマの香ばしさが相まって食材の風味を引き立てる。
主にごまだしうどんとして食べられてきたが、バーニャカウダのソースやドレッシング、和え物など、応用範囲は幅広い。魚の骨も丸ごと使うことが多いので、栄養素も多く含まれる。
九州の小さな漁港で作られた調味料は、その味が認められ、鯵(あじ)を使用した「ごまだし」は、2012年「調味料選手権」(野菜ソムリエ協会主催)の万能調味料部門で最優秀賞を受賞。しだいに全国に知られるようになった。
漁師の奥さんたちの「魚のおいしさを伝えたい」「魚を食べる文化を届けたい」という熱い想いが詰まった郷土の味。
最後に問い合わせ先を記載しているので、ぜひお試しください。

■豊後水道に面した魚の町で受け継がれてきた郷土の味
大分と宮崎の県境に位置し、九州の東端にあたる。
海沿いには格好の漁場であるリアス式海岸が続き、さらに東沖は良質な魚が獲れることで名高い豊後水道に面している。
江戸時代は佐伯藩の城下町として栄えたが、そのころから「佐伯の殿様、浦で持つ」といわれるほど、海の幸に恵まれていることで有名だった。
「周辺の海には、浅瀬から沖合まで、さまざまな水深にすむ魚が生息しています。一本釣り、引き網、巻き網など多彩な漁法で、種類豊富な魚が水揚げされるのも佐伯の漁業の特徴ですね」

佐伯市は良質な海の幸で名高い

新鮮な魚が並ぶ鶴見の公設市場
漁師町である佐伯市鶴見の漁師の奥さんたちが集まり、「めばる」を発足したのが2004年。
食生活の多様化で、魚の消費量が少しずつ減っていく中、「もっと魚のおいしさを知ってほしい」「地域の特色を表現したい」などの想いから「ごまだし」を商品化した。
「魚を手軽に食べていただくために加工食品を作りたいと考えたのですが、干物や練り物はたくさんあります。
「ごまだし」は、茹でたうどんにのせてお湯を注ぐだけで、おいしく栄養たっぷりのうどんが食べられるので、昔から漁師飯として活用されてきた。
保存食として作り置きもできる。まさに漁師の町が生んだ生活の知恵だ。

「ごまだしうどん」は家庭の味

「漁村女性グループめばる」のみなさん
■漁師の奥さんだからこそ。鮮度抜群の魚をたっぷり使用
「めばる」のメンバー5人は漁師の奥さん。そのため、水揚げしたばかりの良質な魚が手に入る。
桑原さんも「主人も子どもも漁師ですから、競りにかける前に『ごまだし』用の魚を仕入れられます」
鮮度がよい魚ほど、焼くと身がしまるので、身を取りやすい。「ごまだし」の製造は、魚をさばき、それを焼いて身をほぐすことから始まるため、魚の鮮度が味に大きく影響してくるという。

素材は鮮度抜群の魚介

魚もゴマもたっぷり
「めばる」では、エソをはじめ、鯵や鯛、シイラを使った「ごまだし」を作っている。
焼いてほぐした魚の身に、醤油とゴマ、みりんなどを加えてペースト状にする。それを加熱して殺菌し、丁寧に瓶に詰める。
シンプルなものだけに、素材へのこだわりは大きい。
醤油は本醸造の無添加品、砂糖は喜界島のきび糖。そして、保存料などの無添物は一切使用していない。
桑原さんたちの努力は、品質の向上だけではない。
今でこそ、佐伯の「ごまだし」は全国区になったが、最初は「ごまだしって何?」といわれることが多かった。
そこで、定番のうどんに加えて、お茶漬けや焼きおにぎり、野菜スティックのソース、トーストにのせてなどのレシピを考案。それをまとめた『海の恵み佐伯ごまだしレシピ』(講談社エディトリアル)も刊行した。

瓶詰めも丁寧に

「ごまだし」を使ったお茶漬け
桑原さんも「私たちが病気知らずで元気いっぱいなのは、ごまだしのおかげだ思っています。おいしくて安全。しかも簡単に使えて、栄養素も豊富なごまだしをぜひお試しください」とPR。
お気に入りのレシピを見つけてみてはいかがですか。

野菜スティックとの相性も抜群

鯛味噌とのセットはギフトに最適
■「ごまだし」の問い合わせ先
※ | 購入についてはこちらのリンク集をご参照ください |
お取扱い先リンク集 | |
漁村女性グループめばる | |
〒876-1203 大分県佐伯市鶴見沖松浦1395-4 | |
TEL:090-4998-0451 | |
FAX:0972-33-0274 | |
取材 中元千恵子(トラベルライター、日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)