風味絶佳“幻のエビ”|鳥取県漁業協同組合|モサエビ

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ぷりっと弾力がありながら、噛めば身はとろけるよう。甘みは深く濃く、それでいて後味はすっきりとして上品な余韻が残る。ほかにはない独特の食感と味わいから“絶品”と評されるのが、鳥取県の名産品である「モサエビ」だ。
鮮度の劣化が早いために地元で消費されることが多く、“幻のエビ”とよばれてきた。

モサエビが水揚げされるのは9月~5月。今まさにシーズンを迎えている。
冬は松葉ガニの存在に隠れがちだが、県内の食事処や旅館では、刺し身、陶板焼き、フライ、味噌汁などにして出される。生(ナマ)でよし、焼いても揚げても、出汁にしてもおいしい。
現在は、冷凍技術も発達し、取り寄せができるようになっている。最後に連絡先を記載しているので、“幻のエビ”をぜひ味わってみよう。

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■甘エビと遜色ない甘み。火を通しても身のやわらさが保たれる

 
 モサエビの正式名称はクロザコエビという。

 なぜモサエビとよばれるようになったかは定かではないが、少し茶色っぽくてごつごつとした頭の形が“猛者(もさ)”を連想させたのかもしれない。

 見た目は少々無骨だが、味は絶品だ。

 モサエビを初めて食べたときの感動は忘れられない。弾力となめらかさを兼ね備えた食感、品のいい甘さと深いうま味。それまで食べたどのエビとも違っていた。

 よく甘エビと比較されるが、両方の味を知る地元の漁師さんが「甘エビはもちろんおいしい。けれど、モサエビを食べると、甘エビをねっとりとして単調な甘さと感じてしまうほど、モサエビは食感が良く、味わいのある甘さだね」と評した言葉が特徴をよく表している。

 甘みが濃いのに、キレがいいとでもいうのか、後味が良いのも印象的だ。

 

ごつごつした頭に特徴がある ©鳥取県
 
 
 

陶板焼きはうま味が凝縮される ©鳥取県
 
 そして、驚いたのは火を通しても身のやわらかさが保たれること。そのためか、モサエビは地元では陶板焼きにして出されることも多い。うま味が凝縮され、とろりとした食感のまま味わえる。

 よい出汁も出るので、家庭で味噌汁にすることも多い。

 漁期は9月~5月。沖合底びき網漁で漁獲され、鳥取市の鳥取港、岩美町の網代(あじろ)港、境港などに水揚げされる。

 鮮度が落ちるのが早いため、昔は漁師さんが船上で食べるくらいで、県外にもあまり出回らなかったそうだ。

 
 

■漁期の長いモサエビ。好みの季節に旅して現地で食べてみては?

 
 現在は船上で急速冷凍され、鮮度を落とさずに水揚げされ、出荷されている。

 それでも、鳥取県産魚PR推進協議会の前田課長さんは「できれば現地に来て味わっていただきたい」と話す。

 旅に出て、鳥取の風土を感じながら、新鮮なモサエビを味わうのは格別だろう。

 そして、モサエビ以外にも、鳥取県には食通をうならせる海産物が多い。

 暖流と冷たい海水が混じりあう山陰沖は魚介の宝庫。鳥取県では、冬の松葉ガニをはじめ、クロマグロ、ハタハタ、カレイ、シロイカなど季節によってさまざまな魚介が水揚げされる。

 「夏輝(なつき)」という名でブランド化された夏に獲れる貴重な天然岩ガキなど、グルメ垂涎の食材も多い。

 

地元ではさまざまな料理にして出される ©鳥取県
 
 
 

山陰の景勝地として名高い浦富海岸
 
 現地に出かければ、ほかにもモサエビのような幻の味に出会えるかもしれない。

 鳥取県は皆生温泉や三朝温泉など温泉が湧き、「鳥取砂丘 砂の美術館」、とっとり花回廊など見どころも多い。

 個人的には岩美町の浦富(うらどめ)海岸がおすすめだ。“山陰海岸ジオパーク”に指定されたエリア内で、屈指の景勝地と称される。澄んだ海の青さと砂浜の白さ、木々の緑のコントラストは息をのむほどの美しい。

 モサエビを食べに、ぜひ鳥取へ!

 
 

■「モサエビ」購入の問い合わせ先

 
  鳥取・賀露港鮮魚市場「かろいち」内
JF鳥取県漁協(漁協直営店)
 
  〒680-0908 鳥取県鳥取市賀露町西3丁目3−27−1
  TEL:0857-31-0011
FAX:0857-31-1100
 
ご購入希望の場合は、電話にて入荷の有無や価格(時価)を確認し、FAXにてお申し込みください。
 
 「かろいち」ホームページ
 

©鳥取県
 
 


取材 中元千恵子(トラベルライター、日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)