清らかな水が育む“水中のエメラルド”|JA全農あきた じゅんさい

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 つるつる、ぷるりとした食感。透き通る美しいゼリー状のぬめり。その二つが合わさって醸し出されるみずみずしく繊細な味わいは、ほかにはない貴重なものだ。

 味も見た目も個性的な“じゅんさい”は、沼や池に自生するスイレン科の植物。4月下旬から収穫がはじまり、初夏に最盛期を迎える。9月上旬までと収穫期は長いが、生のじゅんさいが味わえるのは6月から8月上旬ころまでとわずか。今まさに旬を迎えている。

 食用として古くから親しまれてきたじゅんさいだが、現在では日本に出回っている約8割は外国産(主に中国産)だという。

 国内産はわずか2割だが、そのうち約9割と圧倒的なシェアを誇っているのが秋田県の三種町(みたねちょう)だ。じゅんさいは清らかで豊富な水環境でしか育たない。三種町は、世界遺産にも登録された白神山系からの引水や、出羽山系などから流れ込む美しく豊かな水に恵まれている。そして、いち早く産業としての栽培にも取り組んできた。

 摘み取り用の小舟に乗って、一つ一つ丁寧に摘み取られたじゅんさいは、酢の物や吸い物、和え物、うどんのトッピングなどに使用される。涼しげな風情や、つるっとした食感とのど越しが、夏の暑さを忘れさせてくれるようだ。三種町の豊かな自然が育んだ“水中のエメラルド”と称されるじゅんさいを、ぜひ味わってみよう。三種町ではじゅんさいの摘み取り体験もできる。問い合わせ先は文末をご参照ください。

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■大小200以上のじゅんさい沼が点在する三種町

 
 4月の声を聞くと、三種町ではいよいよじゅんさいの季節がスタートする。スイレン科のじゅんさいは、沼の水底で根を張り、冬を越したその根茎の節から発芽する。そして、夏に向かって水面いっぱいに緑の葉を広げる。

 茎からでてくる新芽はゼリー状のぬめりで覆われ、この部分が食用として摘み取られる。

 春から夏にかけて、鮮やかな緑の葉で覆われた三種町のじゅんさい沼では、摘み取り用の小舟に乗って手作業で収穫する風景が見られる。野鳥の声が聞こえる緑豊かな沼で、浮き葉をかき分けるかすかな水音を響かせて続く収穫のようすは、日本の原風景とでもいうべき心和む美しい光景だ。

 

自然豊かなじゅんさい沼での収穫風景
 
 
 

“水中のエメラルド”といわれる貴重なじゅんさい
 
 三種町のじゅんさい沼は、大小併せて200以上。かつては、三種町の森岳地区の角助沼などで収穫されていたが、現在は、旧山本町(森岳地区の他に下岩川地区、金岡地区)全域で栽培されている。

 三種町のように、じゅんさいの生息範囲が広がっているというのは全国的にみても貴重なことだ。

 じゅんさいは、実に成分の96%以上が水といわれ、清らかで豊富な水環境でしか育たない。『古事記』や『万葉集』にも登場するほど古くから食用として親しまれ、日本各地で自生していたが、生活排水や農薬、除草剤などの影響で生息範囲が減少。現在では、47都道府県のうち半数以上の都県で絶滅や絶滅危惧種に指定されている。

 なぜ三種町は日本一の生産量を誇るのか。

 「いち早く産業としてじゅんさいの栽培に取り組んだ点と、それを実現できた水、土壌、自生沼などの環境が整っていた点です」と地元の関係者は話す。

 三種町のじゅんさい栽培のきっかけには、大きな“人の出会い”があったという。

 
 

■清らかな自然と人の出会いに恵まれ、日本一の産地へ!

 
 三種町のじゅんさい栽培の歴史は、昭和11年までさかのぼる。

 それまで、三種町では池沼に自生するじゅんさいを地域の人が自由に収穫していた。秋田周辺ではあまりじゅんさいが知られていなかったため、販売用に収穫する人は少なく、主に自家用だった。

 栽培のきっかけになったのは、三種町出身の女性が兵庫県明石市にある金陵食品加工会社に就職したことだった。この会社は、京都や兵庫でじゅんさい栽培を行い、瓶詰商品を出荷していた。

 女性が「自分の地元にもじゅんさいがたくさんある」と話したところ、社長が現地を視察。良質なじゅんさいに感動し、栽培方法や加工技術を惜しげもなく伝えた。

 これに地元の生産者が呼応して、三種町はじゅんさいの一大産地へと発展したのだという。

 

小舟に乗って収穫する方法も金陵食品加工会社から伝わったという
 
 
 

さっぱりと食べられる酢の物
 
 三種町で収穫されるじゅんさいはすべて手作業で摘み取られ、丁寧に選別されて出荷される。外国産に比べると、水質や作業に関する安心感が高い。

 地元からは「清らかな水環境で栽培され、一つ一つ丁寧に収穫された希少な国産じゅんさいです。ぷるぷるつるつるの初夏の味覚をぜひご賞味ください」とメッセージ。

 葉にはポリフェノールが含まれ、ビタミンも豊富。しかも低カロリー。極上の食感が楽しめるヘルシーな食材だ。

 取り寄せもできるので、ぜひお問い合わせを。

 また、現地に行けば旬のじゅんさいを使った料理が味わえ、摘み取り体験もできる。

 
 

トマトサラダにのせると彩りにも
 

うどんのトッピングにも
 
 

■三種町のじゅんさいに関する問い合わせ先

 
三種町のじゅんさい購入に関するお問い合わせは
 
JA秋田やまもと  ☎0185・84・2637
 
三種町のじゅんさい摘み取り体験に関するお問い合わせは
 
三種町森岳じゅんさいの里活性化協議会(三種町役場商工観光交流課)     ☎0185・85・4830
観光情報センター  ☎0185・88・8020
 
ホームページもご覧ください。
 

 
 


取材 中元千恵子(トラベルライター、日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)