徳島の美しい山が育んだ|㈱柚りっ子 霜ふりゆずマーマレード

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今月はゆずの名産地である徳島県の極上マーマレードの登場だ。
爽やかな香りと濃厚な風味、ほのかな苦みがやさしい甘さを引き立て、あと味はすっきりとしている。ゆずを何個も凝縮したような豊潤さと、雑味のない透明感を感じる味わいだ。
材料にこだわり、手をかけ、愛情を込めて作られたことが伝わってくる。

材料は、徳島産の栽培期間中農薬不使用のゆず、そして北海道のてんさいを原料としたロック氷糖(最も純度が高い氷砂糖)。国産の素材にこだわり、保存料など添加物は一切使用していない。

通常、ゆずは霜が降りる前に収穫を終えるが、この商品はあえて霜がかかって酸味や苦みがまろやかになった「霜ふりゆず」を使う。そうすることで、ゆずの皮を水に長時間さらすことなく調理できるため、風味が濃く、まろみのある味に仕上がるのだ。

生産する株式会社柚(ゆず)りっ子は、「山の恵みをみんなでゆずりあう」が社名の由来。徳島県の山間部の活性化と、都会に安心安全な食品を届けることを目指し、高齢化が進む農家と交流しながら、ゆず製品を製造販売している。

徳島県の山間部は昼夜の寒暖差が大きいため、ひときわ香り高く酸味のしっかりとした良質なゆずが育つ。生産量は高知県に次いで全国2位(平成15年、農林水産省調べ)。けれど生産農家の高齢化が進み、農薬もかけられず、放置されたゆずが増えていた。
㈱柚りっ子は、そんな農家の収穫も手伝いながら農薬不使用のゆずを購入し、ゆず味噌やゆずシロップ、マーマレード、ジャム、ドレッシングなどさまざまな商品を作っている。

農薬を使わないゆずはシミやキズも多いが、それを一つ一つ手作業で取り除き、丁寧に下処理をして調理される。山あいのゆず畑を渡る風、収穫する農家の人たちの笑顔、加工する女性たちのやさしい手……。口にするとそんな風景が目に浮かんでくる。問い合わせ先を文末に記載しているので、ぜひ味わってみてください。

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■「山を元気にしたい」と66歳で起業。ゆず味噌が大ヒット商品に

 
 商品について説明する前に、㈱柚りっ子についてご紹介したい。
 おいしいものが好きな方、あるいは食品や地域活性化の仕事に従事されている方は、この会社の看板商品であるゆず味噌「柚りっ子」や社長の三澤澄江さんの名前を耳にしたことがあるのではないだろうか?

 定年退職後、66歳の時に鍋一つで起業し、ゆず味噌「柚りっ子」を大人気商品に育てた三澤社長のストーリーは、数多くのメディアで紹介されている。

 きっかけは、知人などへ配っていた自家製のゆず味噌が好評で「いつももらうのは悪いから、次から買わせて」と言われたことだったそうだ。

 

徳島の山間部は良質なゆずが実る
 
 
 

ゆずの収穫を行う社長の三澤澄江さん
 
 材料を求めて山に出かけた三澤さんは、そこで生産農家の高齢化により、収穫もままならずに放置された多くのゆずを目にする。

 「それがもったいなくて、愛おしくて。農家の方に『好きなだけ持っていね(持っていって)』と言われて、何とかこれをお金に換えてあげたい、と思ったのが始まりです」と三澤さんは当時を振り返る。

 農薬を散布する手間もかけられず、農薬不使用で育ったゆずは、表面にシミはあるが安全性が高い。シミの一つ一つ、そして種も手作業で丁寧に取り除き、通常使う皮のほかに果肉や果房も加えてゆず味噌を製造したところ、それは抜群に風味豊かに仕上がった。

 
 
 
 東京で販売しようと、三澤社長は月に何度も夜行バスで上京し、試食販売の先頭に立ってPRし続けた。やがて味の良さが認められ、評判となり、三澤さんの「山を元気にしたい」という願いも共感をよんでいく。

 いつしか、「柚りっ子」は農林水産省が主催する3つの賞「第一回地場もん国民大賞」「フード・アクション・ニッポン」「優良ふるさと食品中央コンクール」をトリプル受賞するほどの、誰もが認める商品になっていた。

 

数々の賞を受賞したゆず味噌「柚りっ子」
 
 

■最高峰のゆずを余すところなく使い切る。種のぬるぬるもジャムのとろみに!

 
 ㈱柚りっ子が材料とするゆずは、四国山地の山あいに広がる木頭(きとう)地区や木屋平(こやだいら)地区で生産される。

 四国のチベットともよばれる秘境・木頭は、一年を通じて寒暖差が大きく、雨量が多い。それは良質なゆずを育てる条件に適し、ほかでは類を見ないほど香りよく、肉厚で、酸味の強いゆずがとれる。

 そのため、木頭ゆずは、農林水産省がすぐれた産物を地域ブランドとして保護するGI(地理的表示保護制度)に登録された。かんきつ類では大分県の「大分かぼす」に続いて全国で2例目だ。

 この木頭ゆずのルーツともいわれるのが木屋平で、負けず劣らずの高品質のゆずがとれる。

 

農薬不使用のゆずは外皮にシミやキズもある
 
 
 

シミの一つ一つを手作業で削り取る
 
 これらの産地で収穫されたゆずは、工場に運ばれてすぐに洗浄。外皮のシミやキズは食感を損なうので、丹念に削り取られる。

 ㈱柚りっ子では、ゆずを余すところなく使うため、果汁、外皮、果肉、房、種に分解する。

 まず、一個ずつやさしく搾り、果汁と皮に分ける。この時、果汁を少しでも多く取ろうとギュウッとめいっぱい搾ると雑味の素になる。あくまでそっとひと押し。

 そうすると皮の油や成分の混入が少なく、おいしい果汁がとれる。これは料理人の間では柚酢として最高級の評価を得ているそうだ。

 
 
 
 果汁を搾ったあとは、さらに外皮と果肉に分け、果肉の内部の種も丹念に取り出す。

 こうして分けたゆずは、果汁は「ゆずシロップ」、外皮+果汁は「ゆずマーマレード」、果肉+果汁+種のぬるぬるは「ゆずジャム」、果汁+外皮+果肉は「柚茶」へと調理される。

 驚くのは、ジャムのとろみもゆずの種のまわりのぬるぬるとした自然成分を使用していることだ。通常のジャムは、ペクチンなどを加えているそうだが、㈱柚りっ子ではゆずの種を集めて袋に入れて搾り、それを使う。

 「家庭ではペクチンは使いませんよね。家庭と同じように、少しでも添加物は使いたくなので、種のまわりのぬるぬるを利用しています」と三澤さんは話す。

 

手押しの搾り機でやさしくひと搾り
 
 
 

下から光を当てて小さな種も取り除く
 

ジャムのとろみもゆずの種を利用している
 
 

■「あかん」といわれた霜のかかったゆず。実はマーマレードやジャムに最適

 
 ゆずは通常、霜が降りる前の11月末までに収穫を終えるが、「霜ふりゆずマーマレード」や「霜ふりゆずジャム」用のゆずは霜がかかるのを待って収穫する。

 霜ふりゆずの利用は約7年前から始まったそうだ。

 TV局からゆずの収穫シーンを撮影したいと依頼があり、日程の都合で撮影日が12月になった。収穫せずに残しておいたゆずに霜がかかった。

 昔から、地元では酸味が弱くなるため「霜がかかったゆずはあかんぞ」といわれていたが、撮影後、もったいないのでジャムにした。すると、まろやかでおいしい。マーマレードも同様においしく、今では霜ふりゆずを作るために、わざわざひと山収穫を遅らせているそうだ。

 

マーマレードやジャムに使うてんさいロック氷糖。すっきりと品のいい甘さを生む
 
 
 

豊潤で透明感のある味わいのマーマレードは活用範囲大
 
 三澤社長は「生産農家の方々は高齢化していますが、次の世代の息子さんや娘さんが畑のようすを見に定期的に帰って来てくださるなど、徳島のゆず製品が認められることで、少しずつ山に活気が戻っているように思います。

 これからも、食べてくださった方々を『おいしい』と笑顔に、そして生産農家さんや作る私たちは『喜んでいただけてうれしい』と笑顔に、みんなが笑顔になれるような製品を作っていきます」と話す。

 徳島の美しい山の風景を届けたい、という想いで作られる㈱柚りっ子の商品。まずは『風土47』おすすめの「霜ふりゆずマーマレード」をぜひお試しください。

 
 

■「霜ふりゆずマーマレード」のお問い合わせ先

 
株式会社柚りっ子
 
  http://www.yuzurikko.jp/
 
  〒770-0861 徳島県徳島市住吉1丁目9-34
  TEL:088-678-3383
  FAX:0120-038-044(無料)
  mail:yuzurikko@circus.ocn.ne.jp
  営業時間:10時~17時
  定休日:土曜日・日曜日・祝日・年末年始
 
 

 
 


取材 中元千恵子(トラベルライター、日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)